ボビー・ポーティス

アデトクンボは41得点、ポーティスは11得点8リバウンドを記録

サンズの2連勝で迎えたNBAファイナル第3戦は、ホームに戻って気持ちをリセットしたバックスが、47年ぶりに迎えるファイナルで大盛り上がりのミルウォーキーのファンからの後押しも受け、試合を通してハードワークが光る展開で1勝目を手にしました。

クリス・ポールがピック&ロールから見事なタイミングでパスを通し、さらに自らもミドルシュートを決めていく序盤、バックスのサンズ対策が効いたわけではありませんでしたが、中2日空いたこともあってか全員の足が止まることなく、パスを出されてからも追いかけてイージーシュートを極力打たせません。また一人ひとりのプレッシャーが効いているため、サンズは第2戦で見せたような鮮やかなボールムーブを作り出せませんでした。

サンズはこのディフェンスに手を焼きますが、ディアンドレ・エイトンがミドルレンジのジャンプシュートを連続して決めてチームを救います。これまで見せなかった武器を使う予定外のプレーにバックスディフェンスは困惑します。しかし、後がない状況でやられても引き下がることなく、オフェンスで取り返しに行き、序盤は互角の展開が続きました。

前半の残り3分の時点でバックスが5点リードと接戦でしたが、ここから一気に試合が動きます。

ボビー・ポーティスとPJ・タッカーによる3ポイントシュート3本成功で点差が開いただけでなく、この3分でエイトンが2つのファウルを立て続けに犯し、さらに後半開始2分でもコールされたことで、わずか5分間で一気にファウルトラブルに陥りました。エイトンはジャンプシュートを決め続けていただけでなく、控えのダリオ・シャリッチがケガで離脱している状況で、余計なファウルをせず長時間プレーすることでチームを支えていました。その彼のファウルトラブルでチームバランスが一気に崩れたのです。

サンズにとって、ヤニス・アデトクンポのアタックを止められないのは想定済みでも、バックスがポーティスを18分も起用し、エイトンのいなくなったインサイドを押し込み、18ものオフェンスリバウンドを許したのは想定外でした。走力のあるポーティスはサンズのスピードについて行ける上、コーナーに広がって3ポイントシュートを打つポジショニングから、ゴール下に飛び込むプレーを連発したため、サンズはサイズもスピードもある2人に対して有効なディフェンスができません。セカンドチャンスポイントはサンズの2点に対してバックスは20。エイトンのファウルトラブルで試合は一気にバックスに傾きました。

それでもサンズはスモールラインナップにしてトランジションを増やし、早さで対抗するとともに、ディフェンスはインサイド側を人数をかけて固めに行ったのですが、今度はドリュー・ホリデーが2試合で7本中1本しか決めていなかった3ポイントシュートを第3クォーターだけで4本決め、勝利を決定づけました。

大差となった中でサンズは早々に試合をあきらめることになり、エースのデビン・ブッカーはプレーオフになって初めてプレータイムが30分を切り、10得点に終わりました。その一方で、41得点を挙げたアデトクンポは37分、ホリデーとクリス・ミドルトンは40分を超えるプレータイムと、最後まで油断することなく試合をクローズさせ、20点差で勝利しました。

ここまでサンズの運動量とスピード、そしてプレーの正確性に圧倒されていたバックスでしたが、ハードワークで対抗したことで互角に持ち込みました。そこにエイトンのファウルトラブルが起きると、両チームのパワーバランスが一気にひっくり返りました。チームカラーが大きく異なる両チームのため、どこか1カ所が崩れると試合展開は大きく変わります。サンズとしては『エイトンのファウルを抑える』という、簡単そうで難しい課題に向き合う第4戦になりそうです。