ダリオ・シャリッチ

ブッカー「心が痛む。僕たちはダリオのことが大好きなんだ」

ダリオ・シャリッチにとっては酷な結果となった。キャリア6年目で初めてNBAファイナルのコートに立ったが、プレー時間は2分のみ。第1クォーター途中にディアンドレ・エイトンに代わって投入された彼は、ドライブでゴール下まで仕掛けるもブルック・ロペスをかわしきれず、急ストップでシュートからパスへと切り替えた際に右膝を痛めた。足を引きずりながらも歩いてロッカールームに戻ったが、前十字靭帯断裂の重傷。今シリーズで戻って来ることがかなわないのはもちろん、来シーズンも全休の恐れがある。

初戦を快勝したサンズだが、彼を襲った不運が暗い影を落としていた。デビン・ブッカーは「心が痛む」と言う。「みんなは見ることができないから分からないかもしれないけど、彼はロッカールームのエネルギー源だ。僕たちはダリオのことが大好きなんだ」

シャリッチのプレータイムはレギュラーシーズンの17.4分から、プレーオフになって10.5分へと減っている。エイトンのプレータイムがそれだけ伸びているという格好だが、シャリッチの不在はディフェンスの多様性を大きく狭めることになる。

シャリッチの穴を埋める選択肢としては、7フッター(213cm)のフランク・カミンスキーの起用がまず考えられるが、プレーオフの17試合中7試合にしか出場しておらず、勝負どころを任されていない彼にNBAファイナルでの大仕事を託すのは不安が残る。それであればスモールフォワードのトーリー・クレッグを使う方が現実的だ。サイズとパワーは心もとないが、様々なディフェンスに対応するバスケIQを持った守備職人で、実際にシャリッチがケガをした昨日の試合でプレータイムを伸ばした。

サンズの指揮官モンティ・ウィリアムズは今後のバックアップセンターについて「その場その場で判断していくしかない」と第1戦を終えた会見で語る。クレッグやジェイ・クラウダーに相手ビッグマンを守らせるケースが増えそうだが、「相手のセンターのダイブにどう対応するか。彼らにとっては慣れたプレーではない」と警戒感を見せる。

第1戦だけを見れば、エイトンが39分間プレーし、シャリッチが抜けた穴が大きく目立つことはなく、試合が進むにつれてリードを伸ばして118-105の完勝を収めた。しかしNBAファイナルは7試合の長丁場で、ホームの2試合は勝って当然、むしろ一つでも落とせば風向きは変わるわけで、大事な初戦を取ったとしても安心してはいられない。

バックスはヤニス・アデトクンボが膝のケガから復帰し、これから調子を上げていくだろう。ビッグラインナップを敷いてエイトンを狙い、ファウルトラブルに追い込むような作戦は、当然のように考えてくるはずだ。バックスが打ってくるであろう手に、どんな対抗策を練るか。モンティ・ウィリアムズと彼のスタッフにとっては頭を悩ませる『中1日』となる。

https://youtu.be/Eggozs4AkgQ