PJ・タッカー

「フェニックスは本当に大切な場所」

今シーズン開幕をロケッツの一員として迎えたPJ・タッカーは、シーズン中のトレードでバックスに移籍した。

バックスでも持ち味であるディフェンスで相手エースを抑え、特にネッツとのカンファレンスセミファイナルでケビン・デュラントと激しいバトルを繰り広げたシーンは、記憶に新しい。

そのタッカーにとって、キャリア初のNBAファイナルは感慨深いシリーズになるだろう。なにしろ対戦するサンズは、彼が2012年から5シーズン所属した古巣だ。ファイナル第1戦の前日会見に出席したタッカーへの質問は、サンズに関するものが多かった。

2006年のドラフト全体35位でラプターズから指名されたタッカーだが、2007年から2012年まで海外リーグでプレーしていた。タッカーはサンズと契約した当時を「結果的に人生を変えてくれた」と振り返っている。

「フェニックスは本当に大切な場所だよ。実は当時は、僕にとってこれまで最高額のオファーをもらっていて、ロシアに戻ろうと思っていたんだ。でも、代理人と妻に説得されて断った。最初は納得していなかったけど、結果的に最高の決断になった。人生を変えてもらったよ」

その後、タッカーはNBAでも実力を認められ、リーグトップクラスのエースキラーという地位を確立した。メディアから「サンズ時代にNBAでやって行けると確信できたのか?」と聞かれたタッカーは、こう答えた。

「あれはサンズでの1年目のニューイヤーズ・イブ(12月31日)のサンダー戦だった。アルビン・ジェントリー(当時のサンズ指揮官)から先発と言われて驚いたよ。僕はロスターでも15番目の選手だと思っていたからね。あの試合のことは一生忘れない」

そして、タッカーはデビン・ブッカーについて「今の彼がやってのけていること、彼の実力は昔から分かっていたことだ」と元チームメートを称えた。「彼にこれだけの力があるのは、誰もが分かっていたよ。それほどまでに優れた選手だったからね」

「一緒にプレーしていた当時、ベテランだった僕の仕事は彼を成長させることだった。彼が何をしないといけないのか、彼にとって何が必要だったのかは分かっていた。彼は実力を証明していたし、試練を乗り越えて成長した。今も成長している。それだけの選手なんだ」