RJ・バレット

彼が生まれた直後に行われたシドニー五輪では、父が9番を背負ってプレー

オリンピックの世界最終予選(OQT)がスタートした。カナダは間もなく始まるギリシャとの試合が初戦となる。

カナダで行われるOQTはギリシャ、中国、チェコ、トルコ、ウルグアイが参加する激戦区。それでも8名のNBAプレーヤーを擁し、ニック・ナースが率いるカナダ代表はホームコートアドバンテージもあり、東京オリンピック出場の最有力候補と言える存在だ。

RJ・バレットはニックスでレギュラーシーズン全72試合に出場して、ジュリアス・ランドルに次ぐ17.6得点を記録。チームのプレーオフ進出に貢献するとともに、彼自身もNBAキャリア2年目で『勝つ経験』を覚えて大きな飛躍を遂げ、その自信をカナダ代表にも持ち込んでいる。

カナダ代表でもニックスと同じ背番号9を背負うが、カナダの9番は彼にとってはまた違う意味を持つ。父であるローワン・バレットが2000年のシドニーオリンピックに出場していた時に背負っていたものだ。彼が育った家には、今もそのジャージが飾られている。2000年6月生まれの彼に大会の記憶があるはずもないが、父からはスティーブ・ナッシュとともに参加したオリンピックがいかに素晴らしいか、何度も聞かされていたそうだ。

20年ぶりとなるオリンピックの出場権を勝ち取るべく、バレットの鼻息は荒い。「オリンピック出場を懸けて戦うことに興奮している。しかも地元でプレーできるんだから、これ以上のことはない」

カナダは20年間オリンピックから遠ざかっているが、バレットには自信がある。U19ワールドカップでカナダを優勝に導き、彼は得点王と大会MVPを受賞した。そしてNBAで『勝つ経験』を積んでいるのだから、今大会に気合いが入るのも当然だ。

「NBAでプレーしていると、バスケットボールをまた違う意味で理解できると感じる。それをカナダ代表に還元したい。U19ワールドカップは僕のキャリアにとって特別なものだったけど、この大会をそれ以上のものにしたいんだ。僕は代表チームの一員であることを誇りに思っている。だから今ここにいる。その気持ちを大事にしてプレーし、オリンピックでメダルを勝ち取りたい」

ニック・ナースが「ひたすら努力を重ね、成長している。すべてを吸収しているかのようだ」と評価するバレットは、カナダ代表のエースとしてチームの浮沈を担う存在になりそうだ。