「今のスタイルは海外組が合流しても変える必要はない」
バスケットボール男子日本代表は、国内組だけで挑んだイランとの国際強化試合を2勝1敗で終えた。
1勝1敗で迎えた第3戦、日本は攻守ともに機能し76-50の快勝を収めた。指揮官のフリオ・ラマスも「ディフェンスもオフェンスも良い内容だった。良い方向に向かっているということだけは断言できる」と語り、手応えをつかんだ様子だった。
日本は7月7日から16日までの期間で、『日本生命カップ2021』沖縄大会、埼玉大会でハンガリー代表、ベルギー代表、フィンランド代表(埼玉大会の対戦相手は未定)と国際強化試合を行う。そして、ここからは八村塁、渡邊雄太、馬場雄大の『海外組』が合流する予定だ。そのため、ラマスヘッドコーチも「沖縄に移動するこの期間が、一番重要な期間になる」と語った。
日本は海外組を除いた15名でアジアカップ予選、そして国際強化試合を戦ってきた。当然、海外組の3人はチームの中心を担うため、海外組が加わればこれまでとは全く違うチームになると言える。ラマスヘッドコーチはそれを否定はしなかったが、最近のスタイルは変えないと明言した。
「もちろん、彼ら個人のタレント力、影響力は試合に変化を与える。だが、今のシステムやスタイルは彼らがそこに入ってもできる形で、彼らが合流しても特に変える必要はないと思っている。ただ、国内組は先に進んでいるので一時停止し、彼らのために時間を作って教えないといけない」
ラマスヘッドコーチが言うシステムとは、4人をアウトサイドに置き、1人をインサイドに置く『4アウト1イン』という形。ラマスヘッドコーチは「コーナーの2カ所とウイングの2カ所でできるだけクリエイトするようにしているので、自然と3ポイントのシチュエーションは増える」と説明した。そして、渡邊と馬場の特性をドライブと話し、このように続けた。
「馬場と渡邊のドライバーとしての能力を生かしていかないといけない。3ポイントシュートの能力も高いが、彼らのドライブの能力を買っている。特にバスケはスペースが大事で、他のペリメーターの選手が3ポイントシュートを打つことが理想」
また、ラマスヘッドコーチは「3ポイントシュートの能力が高い選手はそこにいるだけで脅威で、このチームには必要」、「オフェンスやディフェンスのどちらかに偏ったことはなく、両立して良いチームを作りたい。両方を最大限に引き出すのが私の役目」と発言している。
代表争いは激化しているが、これらの言葉から考えられることは、シュータータイプを多く置き、攻守どちらかに偏った選手選考を行わないということ。帰化選手枠では、3試合で平均17.0得点を記録したギャビン・エドワーズよりも、アシストとディフェンス力に優れ、オールラウンドな活躍が見込めるライアン・ロシターが有利と言っていいだろう。また、ウイングでは安定して3ポイントシュートを決め続けた金丸晃輔や安藤 周人、張本天傑が選ばれる可能性が高い。
結果はラマスヘッドコーチのみぞ知るところだが、あと4試合の国際強化試合でのパフォーマンスをしばし見守りたい。