馬場雄大

パース・ワイルドキャッツとの『グランドファイナル』に3連勝

6月25日、オーストラリアNBLの優勝決定シリーズである3戦先勝方式の『グランドファイナル』第3戦が行われ、馬場雄大が所属するメルボルン・ユナイテッドが81-76でパース・ワイルドキャッツに勝利。シリーズ3連勝で、見事リーグ王者へと輝いた。

レギュラーシーズンを28勝8敗の1位で終えたメルボルンは、上位4チームが進出するプレーオフのセミファイナルでサウスイーストメルボルン・フェニックスと対戦。2戦先勝方式の初戦を制すが、第2戦に敗れ逆王手をかけられる。しかし、第3戦ではオーストラリア代表のビッグマンであるジャック・ランデイルが27得点と大暴れし84-74で勝ち上がった。

こうして迎えた『グランドファイナル』でメルボルンは、リーグ2連覇中でレギュラーシーズン2位のパースと激突した。敵地での第1戦、第2戦を制して迎えた昨日の第3戦を迎える。実はメルボルンは5月に入って同州が新型コロナウィルスの感染防止対策でロックダウンしたことで、これまでずっと遠征を余儀なくされ、この日が実に約6週間ぶりのホームゲームとなった。慣れ親しんだ本拠地での久しぶりとなる一戦で、メルボルンは過去2試合の勢いを維持し、試合開始4分で17-5と大きく先行する。

だが、ここ4年間で3度目のシーズンMVPを受賞したリーグ最強ガードのブライス・コットンが5月下旬に故障離脱する中、総合力で勝ち上がってきたパースも意地の追い上げを見せ、前半はメルボルンの42-39と互角に持ち込む。

そのまま僅差の展開で第4クォーターに突入するが、ここで馬場がチームに勢いを与える。出だしでいきなり3ポイントシュートを決めると、次のポゼッションで味方のブロックを起点としたトランジションでダンクを叩き込みに行ってシューティングファウルを獲得。フリースローを2本決める連続5得点により、メルボルンはリードを2桁に広げる。

パースも粘りを見せ、3点差、4点差にまで迫るが、メルボルンはランデイルのインサイド、クリス・ゴールディングの外角シュートとオーストラリア代表コンビが要所で決めてリードを保つ。3点差で迎えた残り39秒、ランデイルが技ありのターンアラウンドのジャンプシュートを決め79-74と突き放すと、最後は馬場のダンクで締めくくり激闘を制した。

この試合、馬場は23分43秒のプレータイムで11得点2リバウンド1アシストを記録。優勝を決める大一番の第4クォーターで出ずっぱりだったことは、彼がチャンピオンチームの主力であることを示す何よりの証拠だ。

これで馬場の2020-21シーズンは終了。レギュラーシーズンは30試合出場、平均20分出場で8得点、2.3リバウンド、1.2アシストの成績だったが、タフなディフェンスなど数字に出ない部分での貢献も大きかった。そして何よりも安定したプレータイムを獲得し、頂点に立ったことに意味がある。

馬場は筑波大学でインカレ3連覇を達成した後、アルバルク東京に加入しBリーグ連覇を達成。昨シーズンはNBA傘下Gリーグのテキサス・レジェンズでプレーしたが、コロナ禍を受けリーグが途中で打ち切りとなったので除外すると、大学1年生から6シーズン連続で所属チームが優勝していることになる。

この日本バスケ界で誰よりも勝利の女神に愛されている若武者が、これから日本代表に合流し、東京オリンピックでチームを歴史的勝利に導いてくれることを大いに期待したい。