昨シーズンの前半戦、サンロッカーズ渋谷は『一体感』を武器に、ケガ人を多数抱えながらも激戦の東地区で好位置をキープしていた。しかし、ケガ人が復帰した後半戦にまさかの失速で、チャンピオンシップ出場を逃した。そんな失意のシーズン、広瀬健太はバスケ人生で初めての大きなケガに苦しみ、「バスケットをあきらめてしまうぐらい厳しいシーズンだった」と漏らしていた。だが、それも過去のこと。新たなシーズンへと向かう広瀬に話を聞いた。
オフを満喫し、心身ともにリフレッシュ
──苦しみ抜いたシーズンを終え、迎えたオフはいかがでしたか?
バスケットをやっていると良い意味のプレッシャーがあるので、そのストレスから解放されて肩の荷が下りた生活ができていました。リフレッシュして、リセットできました。
──クラブのホームページで、大好きな落語に行った様子を拝見しました。
好きなんですけど詳しいわけではないので、何か失礼なことがあったら嫌だなと思って緊張しました(笑)。
──そもそも落語を好きになったきっかけはなんですか?
きっかけは忘れちゃいましたけど、伝統芸能というか日本から昔からあるものがなんとなく好きで。聞いてみたら面白いなと思ったので。7、8年くらい前だと思いますけど、質問されて人と同じものが好きと言いたくなかったんじゃないですかね、天邪鬼なので(笑)。
──存分にリラックスできたようですが、オフの期間もトレーニングはしていたのですか?
シーズンが終わってすぐの頃は全く身体を動かさなかったです。少ししてから走ったり、重りを持たないトレーニングは自分でやっていました。7月に入るまでは個人的にやって、その後はパフォーマンスコーチと一緒にやっています。汗をかかないと気持ち悪く感じるようになって、身体が重たくなってきたと感じた時に動かすと気持ちが良いので、そのタイミングですね。
「サンロッカーズに必要としていると言ってもらえた」
──昨シーズンはケガのせいでトレーニング不足に陥り、チャンピオンシップを逃したことで精神的に参っていたと話していました。今は心身ともに戦う準備ができましたか?
やっぱりバスケをやりたくてやってきて、自分にはバスケットしかないという思いはあるので。やらなきゃいけないというより、あらためて好きでやっているんだなと思いました。
昨シーズンは辛かったので、本当にバスケを続けるかどうかも含めて考えたんですけど、まだサンロッカーズに必要としていると言ってもらえたので。サンロッカーズはこんなもんじゃないと、やり残したというかやり足りないという思いがあって、サンロッカーズで頑張ろうと。
初めて大きなケガをして、試合から離れて、またそこに戻る難しさというのは感じました。それが良い経験だったと言えるような結果を今シーズンは出さないといけないと思っています。危機感を持って取り組みたいです。
「チームカラーに合った選手が残ったことはプラス」
──渋谷は大きなメンバーの入れ替わりがなく、継続路線を選びました。
昨シーズンの強かったところはしっかり残して、またそこに足りなかった分を付け足していくということになります。自分たちはディフェンスがしっかり機能している時が一番良くて、そこは変わらずに自分たちの武器として、一番の強みとして続けていきたいです。
──チームの刷新にも継続路線にも、それぞれメリットとデメリットがあると思います。
コーチも変わらず、選手も変わらないことでフレッシュな気持ちが薄れてしまう可能性は少なからずあると思います。特に昨シーズンは流れが悪いまま終わってしまったので。自分に何が足りなかったのか、チームに対して何かインパクトを残せたのかという部分を持って、みんなこのコートに戻って来ていると思います。
サンロッカーズに来てほしかった選手もたくさんいると思うんですけど、それはもう完全な自由市場ですし、来てほしいからといって皆が来てくれるわけではありません。そして、僕らも誰でもいいということはなくて、自分たちのカラーに合った選手が来てほしいという思いがあります。今いる選手は自分たちのカラーにあった、サンロッカーズのカラーに合った選手がいると思うので、それを残せたということはプラスだと思っています。
──そういった意味では今の形がベストということですね。では最後に個人的な新シーズンの目標を教えてください。
今年で33歳ですが、歳だから身体が動かなくなったと思われたくないですね。それって意識の問題だと思うんですよ。30歳を超えると身体が重くなるとか、そういった先入観や刷り込みなどと戦っていきたいです。若い時にできたとしても今はできないことももちろんあると思います。でも逆に若い時にできなかったことが、今後できるようになることもあると思います。