どん底からのプレーオフ進出を果たしたウィザーズ、ブラッドリー・ビールは「全員が学び、成長したいと強く願うチームだった」

どん底からのプレーオフ進出を果たしたウィザーズ、ブラッドリー・ビールは「全員が学び、成長したいと強く願うチームだった」

2021/06/16 12:00
ウィザーズ

シーズン終盤に17勝6敗と大きく勝ち越し目標を達成

レギュラーシーズン34勝38敗。プレーイン・トーナメントを勝ち抜いて3年ぶりのプレーオフに進出するも、第1シードのセブンティシクサーズに1勝4敗でファーストラウンド敗退。ウィザーズの2020-21シーズンの評価は、人によって様々だろう。優勝争いをするほどのチームではなかったが、シーズン当初の目標は『プレーオフ進出』であり、『ブラッドリー・ビールが納得するチーム』であったはずだ。前者はクリアし、後者も一定の結果は出したと言える。

開幕前に、ようやく故障の癒えたジョン・ウォールがトレードを直訴し、ロケッツへと移籍した。「僕のことを終わった選手だと見なし、トレードしようとした」がその原因だと彼は語っている。絶対的なチームリーダーが球団と衝突して出ていったことで、チームは複雑な感情を抱えて開幕を迎えることとなった。

ウォールとのトレードで加入したラッセル・ウェストブルックも評価は決して高くはなかった。ウェストブルックもビールもボールを持つことでリズムに乗るタイプで、2人が噛み合うかどうかが疑問視されたし、ロケッツでのパフォーマンスも良くはなかった。実際チームは開幕から5連敗。3勝8敗とした時点で新型コロナウイルス感染により約2週間の活動休止を余儀なくされた。この間、選手はほぼ隔離されてチーム練習もできず、コンディションも試合勘も失うことになった。中断期間のしわ寄せで、ただでさえ過密日程だったのが、さらに過密になった。

4月上旬の時点で、5連敗と4連敗を2度ずつ喫しての17勝32敗。ウェストブルックの奮闘はワンマンプレーと見なされ、ビールが大量得点を奪う試合では勝てない、という悪いジンクスも生まれていた。この時点でウィザーズは浮上の気配を全く感じさせなかった。ところが、ウィザーズはここから個々の力が噛み合い、プレーオフに向けて驀進し始める。

大きな変化の一つはウェストブルックだ。彼自身のエネルギッシュなプレー自体はほとんど変わっていないが、周囲がそれに合わせるプレーの精度を高めたことがきっかけとなった。ビールがオフェンスの主導権をウェストブルックに任せるようになり、逆にイシュ・スミスやラウル・ネトはウェストブルック頼みではなく自分でアタックすることで相手の隙を突いた。ただのリバウンダーとフィニッシャーだったセンターにボールを預ける機会が増え、ロビン・ロペスに加えて途中加入のダニエル・ギャフォードとアレックス・レンがそれぞれ活躍。中と外のバランスが取れたことでビールの突破力も最大限に引き出されるようになった。ディフェンスでは常に難を抱えていたが、点の取り合いに持ち込んで打ち勝つスタイルで、シーズン終盤は17勝6敗と大きく勝ち越した。

ペイサーズを142-115の超ハイスコアで打ち破ってプレーオフ進出を果たしたまでは良かったが、点の取り合いで上回るスタイルはプレーオフでは通用せず、シクサーズには歯が立たなかった。それでも、ここまで戦い抜いたことはウィザーズにとってはポジティブな結果だ。

シーズン最後の会見で、指揮官のスコット・ブルックスはこう語った。「選手として、アシスタントコーチとして、ヘッドコーチとして多くのチームで戦ってきた中でもお気に入りのシーズンになった。公になっていることもそうでないことも様々ある中で、ケガを抱えながらも戦い続け、お互いのためにプレーしてここまで来た。ガッツとタフネス、闘争心を持った選手を求めていた。選手たちの献身ぶり、すべてのスタッフの働きを誇りに思う。彼らはみな、我々の成功の一部だし、今後のチームの成長を担うんだ」

ブラッドリー・ビールは得点ランキングでステフィン・カリーに次ぐ2位となり、オールNBAの3rdチームにも選ばれた。NBAオールスターにも返り咲いている。彼自身がウィザーズの将来をどれだけポジティブに見ているかは分からないが、シーズンを終えるにあたり「全員が学び、成長したいと強く願うチームだった。その姿に刺激をもらったし、みんなを誇りに思う」と語っている。

「Gリーグから来た選手、ラインナップに加わったり外れたりした選手、プレータイムを得た選手と得られなかった選手。いろんな選手がいたけど、全員が最後まで頑張り続けたし、チーム内で変な悪意を見せることもなかった」

プレーオフ敗退が決まった直後、彼はウィザーズに残るかどうかを語るのではなく、チームをどう強くするかを語った。「今夜か、遅くとも明日にはフリーエージェントの勧誘を始めるつもりだ。僕たちを見て何ができるのか、どれだけ競争力のあるチームなのか分かってもらいたい。それにワシントンDCは真のスポーツの街だ。みんな興味を持つと思う。リクルートは大変だけど、とにかくやってみる。この夏を楽しみにしているよ」

最後に八村塁に触れておきたい。57試合に出場して平均31.5分プレーし、13.8得点、5.8リバウンド、1.6アシストを記録。好不調の波は大きかったが、まだ2年目であること、通常とは違う過密日程のシーズンだったことを考えると、ケガでの長期欠場はなく主力としてシーズンを戦い抜いただけでも意義は大きい。彼にとっては自信を増すシーズンになったはずだ。課題は試合終盤、勝敗を左右するような時間帯で活躍すること。クラッチタイムの攻めはビールとウェストブルックの2択になるウィザーズだが、NBA3年目のシーズンはエースに続くオプションとしての存在価値を高めることが求められる。

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