『三井不動産カップ2021』神奈川大会のMVPに選出
女子日本代表は6月10日から13日にかけて行われたポルトガルとの国際強化試合『三井不動産カップ2021』神奈川大会を3戦全勝で終えた。この3連戦のMVPに選出されたのは第1戦、第2戦でともに4本の3ポイントシュートを沈めた三好南穂だ。
現在、日本代表は16名が12名の最終メンバー入りをかけて争っている状況。シューター枠では、2020年2月の五輪最終予選でベルギー、カナダの強国相手に大活躍し、指揮官トム・ホーバスも「特別なシューター」と語る林咲希が実績で一歩抜けている。
このシリーズではシューター陣のシュートタッチが揃って低調だったが、三好だけは高確率で3ポイントシュートを沈めた。その活躍ぶりにホーバスも「三好はこの3ゲームを前に練習であまり調子が良くなかったですが、良い仕事をしてくれました」と、この3連戦で目立った選手の1人として名前を挙げた。
激しい代表選考レースで大きなアピールに成功した三好は今回の3試合をこう総括する。「私の仕事は3ポイントシュートのチャンスがあったら打ち続けること。今日は確率が良くなかったですが、3試合通して徹底してやることができてよかったかなと思います」
「小さいですけど当たりで負けずにやっていきたい」
リオ五輪に選ばれて以降、三好にとっての日本代表は代表候補止まりで主要大会の出場をあと一歩で逃すケースも少なくなかった。特に2018年のワールドカップでは、開催地スペインにまで帯同するも、そこからメンバー入りを逃して帰国する悔しさを味わった。
だが、この時の経験が大きな糧になったと言う。「スペインでのワールドカップでメンバーから落ちましたが、調子が悪かった時にふっきれることで調子を取り戻せました。落ちたけど自分のやるべきことをやったので後悔なく終わっていました。その時の経験が今に繋がっています。ふっきれさえすれば、自分らしいプレーができると感じながらやれています」
今、三好の役割は限られた出場時間の中で3ポイントシュートを決めることだが、それは図らずもリオ五輪の時と同じだ。「リオの時と変わらず、短い時間で結果を出すのが仕事です。リオでは(グループリーグの)フランス戦の最後に出させてもらって1本、3ポイントシュートを決めたのが自信に繋がりました。短い時間の中で結果を残すことの大切さ、メンタルの持ち方はその時の経験が生きていると思います」
いよいよ選考レースも大詰めとなるが、2大会連続の五輪出場へ、三好が意識するのはシュートを打ち続けること。そして、相手が外角シュートを徹底的に抑えにきた時のプレーで、その打開策の片鱗は今日の試合で見せることができたと言う。「昨日から感じていたのは相手のディナイが激しくて、スクリーンのところでも3ポイントを打たせないディフェンスをしてきました。今日はそこを突いてバックカットだったり、シュートフェイクからドライブを取り入れました」
「チャンスがあったら3ポイントシュートを打ちますが、アジャストされた後のプレーでステップアップする。ディフェンスでフィジカルにこられた時、小さいですけど当たりで負けずにやっていきたいです」
振り返れば5年前も、五輪直前に評価を一気に高めてメンバー入りを果たした。そして今回も土壇場で大きな結果を残した。まだ代表選考は続くが、本人が重要視する『ふっきれた』気持ちで、自分らしさを最後まで貫くことができれば、再び五輪の大舞台に立つことができるはずだ。