ケビン・デュラント

バックスは打つ手がすべて機能せず、第4クォーター早々に降参

ジェームズ・ハーデンはいつ、どれぐらいの状態で戦線復帰できるのか。チームケミストリーはどう補うのか……。プレーオフ前のそんな心配はすべて杞憂だったようだ。カンファレンスセミファイナルの第2戦、ネッツはバックスを完膚なきまでに叩きのめして連勝を飾った。

ケビン・デュラントは自分を抑えるために先発起用されたPJ・タッカーを試合開始から3分でファウルトラブルに追いやり、その2分後には代わってマークについたヤニス・アデトクンボも鋭い動きで振り切って、バスケット・カウントをもぎ取った。ブルース・ブラウンの攻守に渡るハッスルがあり、ネッツの弱点であるはずのディフェンスはバックスに有効な攻めを許さない。ブレイク・グリフィンは全盛期を思い起こさせるような豪快なダンクを連発した。

バックスの選手たちはメンタル的に準備ができないまま試合に臨んでしまったようで、ボールウォッチャーになってゴール下がガラ空きとなり、それをカバーしようとすれば外からのシュートを射貫かれた。頼みのアデトクンボは挽回しようとハッスルするも、それがワンマンプレーになってしまい、良いプレーがあっても単発に終わる。

点差が離れてもまだ前半で、オフェンスに力を入れるのは間違っていた。デュラントとカイリー・アービングに良いリズムでシュートを打ち続けられ、逆に強引な攻めはしばしばターンオーバーから速攻を浴びることに繋がった。

前半を終えて41-65と24点ビハインドのバックスは、後半になっても噛み合わず。第4クォーター残り9分の時点で主力をベンチに下げて白旗を上げた。この時点で103-70だったが、最終スコアは125-86とさらに差が付いた。

デュラントはフィールドゴール18本中12本成功、ゲームハイの32得点を記録した。スタッツ以上にバックスの誰がマークしても突破し、揺さぶってはジャンプシュートを決めて、ダブルチームに来れば的確にパスをさばいた。ネッツはチーム全体で3ポイントシュート42本中21本と50%で決めた。デュラントを起点にしたズレから効率良くワイドオープンを作り出し、それぞれが高確率で決めた結果だ。

デュラントは試合後の会見でこう語る。「ウチも完璧なプレーができたわけではないけど、しっかりカバーすることができた結果だ。それに、相手にオフェンシブリバウンドで圧倒されなかったから、ペイント内で効率の良いプレーができた。いずれにしても、ホームでやるべきことができた」

デュラントは、特に守備での貢献が光るブルース・ブラウンがチームに与えているインパクトについてもこう語っている。「ウチがブルースを獲得した時にカイ(アービング)とも話していたんだけど、ピストンズ時代の彼のことを知っている人の数は少なかった。でも、自分がウォリアーズ時代に対戦した時、スカウティングリポートには『試合の流れを変える選手』とあった。彼はドラフト2巡目指名(2018年全体42位)選手で、大学時代も知らなかったから、『あいつは何者なんだ?』と思っていたんだ。高いインテンシティとパッションを持ってプレーする選手だから、チームに良い影響を与えてくれるのは分かっていた」

これでチームは2連勝と勢いに乗るが、デュラントは敵地での第3戦は別物になると、早くも気を引き締めている。「第3戦がどれだけ重要な試合かは理解している。バックスファンは、自分たちがウォームアップを始めた瞬間から試合に入り込むだろうし、相手の選手も自宅で普段通り過ごせるから、これまでの試合より必ず良いプレーをするだろう。とにかく、試合が楽しみだよ」