トレイ・ヤング

4勝1敗でシリーズを突破。次はセブンティシクサーズと対戦

昨シーズンのホークスは20勝47敗と東カンファレンスで下から2番目の順位に沈んだ。プレーオフに進出できないどころか『バブル』でのシーズン再開からも締め出され、トレイ・ヤングのシーズンは3月に終わっている。プレーオフで世間が盛り上がっていた頃、彼は自宅のテレビで試合を見てはせっせと感想をツィートしていた。

そのことを考えれば、マディソン・スクエア・ガーデンの大ブーイングが心地良いのも理解できる。ニックスとのプレーオフファーストラウンド、ここで行われた最初の2試合で彼は盛大な罵声を浴び、第2戦ではコートサイドの観客から唾まで吐かれた。それでも、ニューヨークのファンが敵意を向ければ向けるほど、ヤングは奮い立つ。

3勝1敗と王手をかけて臨んだ第5戦の第4クォーター残り1分、98-86とホークスがリードする状況で、観客たちは敗戦を受け入れ、プレーオフ進出を果たしたニックスの選手たちをねぎらう拍手を送っていた。そこにとどめの一発を見舞ったのがヤングだ。レジー・ブロックを左右に揺さぶり、ニックスのロゴの位置からディープスリーを沈めると、ニックスファンに向かって深々とお辞儀した。

「ここではたくさんのショーが行われている。ショーの最後に何をすべきかは分かっているよ」とヤングはこのお辞儀を振り返る。

4勝1敗でホークスはニックスを撃破。ヤングは5試合で29.2得点、9.8アシストを記録した。得点は5試合中4試合で、アシストは5試合すべてでゲームハイと、このシリーズは完全に彼が支配した。

キャリア3年目で初めてのプレーオフ、その最初のシリーズで完璧なパフォーマンスを見せたヤングは「良い気分だ」と語る。「満足はしていないよ。まだまだ向上できる部分はいっぱいあるからね。でも、気分はすごく良い。シーズン当初からずっと言ってきたように、プレーオフで勝つこの瞬間のために人生をかけて頑張ってきたような気がする。ここにいる選手みんながそうしてきたんだ。試合に勝つのも、シリーズに勝つのも良い気分だね」

チームメートのジョン・コリンズはこう語った。「トレイはファンの熱気を力に変えるタイプ。それがネガティブなエネルギーであっても自分の燃料にしてしまう。ニューヨークのファンは彼のことが大嫌いだろうけど、どうぞどうぞって感じだよ。トレイは全く気にしないし、僕らもそれを頼もしく思っている」

こうしてホークスは、セブンティシクサーズが待つカンファレンスセミファイナルへと進む。相手は東の1位で、プレーオフの経験も豊富だが、エースのジョエル・エンビードが膝を痛めている。ホークスとしては、マディソン・スクエア・ガーデンでニックスを倒したフレッシュな勢いを、次のシリーズでも生かしたいところだ。