ラマーカス・オルドリッジ

「このメンバーと一緒なら、間違いなくファイナルに進出できた」

ネッツはセルティックスとのプレーオフファーストラウンドを危なげなく突破し、カンファレンスセミファイナルへと駒を進めた。バックスと当たるここからが、本当の勝負と言えるだろう。レギュラーシーズンを通してネッツはケガ人が代わる代わる出て、自慢の『ビッグ3』が揃ってプレーする機会に乏しく、チームケミストリーに課題があると言われていたが、セルティックスとのシリーズを通して問題がないことを証明した。『ビッグ3』は全員好調で、これからの戦いには期待が持てる。

そんなチームを複雑な心境で眺めているのがラマーカス・オルドリッジだ。彼は今シーズン途中にスパーズを離れてネッツに加入したが、それからすぐに試合中に不整脈の発作を起こし、その日の夜には状態が悪化。15年間のNBAキャリアで常に心臓疾患を抱えながらプレーしてきた彼だが、これを機に現役引退を表明した。

「僕は自分のキャリアを心から楽しむことができた」と引退メッセージに綴ったオルドリッジだが、ずっと続けてきたバスケットボールから離れた今、葛藤がないはずはない。

『ESPN』の取材に応じた彼は、今の心境をこう語る。「落ち込んでいるよ。コート上で戦えないことで落ち込むのは当たり前で、そうしないためにどうすればいいのかと考えている。僕はまだバスケットボールを愛しているし、たくさんの貢献ができると思っている。ずっと続けてきた大好きなバスケを、一夜にして失ってしまった。ショックは大きいよ」

トレイルブレイザーズとスパーズで過ごしたキャリアにおいてオールスターに7回選出されたが、NBAファイナルに出場したことはない。若手へと切り替えたスパーズを退団し、ベテラン最低保証額でネッツと契約。すべてはNBA優勝を勝ち取るためだった。

ネッツで5試合しかプレーできず、シーズンを戦い抜くことができなかったことを、「それが一番辛かった。次のステップがどんなものかを経験し、自分のキャリアをより充実したものにするチャンスだったのに、失ってしまった」とオルドリッジは言う。

オルドリッジはネッツを応援しながら、自分がいればどんなプレーをするかを考えてしまう。「このメンバーと一緒なら、間違いなくファイナルに進出して、特別な何かを果たせたと思う。エゴのないメンバーが集まって、互いに支え合い、みんなが成功を収められるよう応援する。そんな面白さがネッツにはあった」

「誰だって、いずれは健康や家族を優先する時が来る。僕にとってのその時が来たんだ。僕のプレーはチームに必要とされていたと感じるから、余計に辛いよ」

現役引退は苦渋の決断ではあっても、彼自身が下したものだ。ただ、まだ100%の傍観者としてネッツを応援する気になれないのも無理はない。ただ、複雑な思いは抱えながらも、彼は短い期間ではあったがプレーしたネッツがこのままプレーオフで勝ち進むことを願っている。時間はかかるだろうが、慣れていくしかない。