白熱のファイナル第3戦「誰が見ても良いゲームだった」
宇都宮ブレックスは千葉ジェッツとのファイナル第3戦に62-71で敗れ、初年度以来となるリーグ制覇を逃した。
宇都宮は3ポイントシュートを11本連続で外し続けたことで、第2クォーター序盤に2桁のビハインドを背負った。それでも、ライアン・ロシターがチーム初の3ポイントシュートを成功させると遠藤祐亮も続き、前半で追いついた。その後、終盤まで接戦が続いたが、残り38秒に許したセバスチャン・サイズのタップシュートが致命傷となり、悲願成就とはならなかった。
終盤まで1ポゼッションを争う接戦だっただけに、明確な敗因を見つけることは難しい。遠藤は「最後、自分たちは効果的なオフェンスを選択できずにタフショットを外しました。相手は自分たちの得意なプレーを続けて、そこを決めきっていたのが大きな違い。最後及ばなかったのは自分たちに何か足りないところがあったからだと思いますけど、今は正直分からない」と、試合を振り返った。
序盤はシュートタッチに苦しんだ遠藤だったが、尻上がりに調子を上げ、大事な場面で3ポイントシュートを沈めた。最終的に3本の3ポイントシュート成功を含む、チームハイの13得点を挙げて接戦を演じる立役者となった。遠藤は言う。「ゲームの入りから相手も自分たちもエナジーを持ってプレーできていたと思うし、最後の最後までどちらが勝つか分からないようなゲームになった。ファイナル第3戦で千葉さんとこういう戦いができたのは本当に良かった」
会見に登壇した遠藤はこうした前向きな発言な発言が目立ち、時折笑顔も見せていた。最後の最後で優勝を逃したのだから、悔しくないはずがない。それでも、どこか清々しささえ感じさせる表情を見せた理由は、すべてを出し切った充実感があったからに他ならない。
「自分もやっていてすごく楽しくて、誰が見ても良いゲームだったんじゃないかなと思う。最後は足りないところがあったから負けてしまったけど、それが今の自分たちの現実で、そういうのを最後の場面で感じながらやっていました。優勝できなかったのは悔しいですけど、チームメートといろんなコミュニケーションを取りながらシーズンを楽しく過ごせたし、自分たちのやるべきことはできたのかなと思います」
「ファンの皆さんも、チームメートもすごく誇りに思います」
遠藤が楽しかったことを強調するのは当然だろう。最終節こそ川崎ブレイブサンダースに同一カード連敗を許したが、チャンピオンシップセミファイナルでは2連勝でリベンジを果たした。シーズンを通して安定した戦いを披露し、東地区優勝とリーグ最高勝率を達成。チャンピオンシップのホーム開催権を獲得し、ファンを喜ばせるという一番の目標も完遂した。
「自分たちもいろいろな犠牲を払い、我慢をしながらここまでやってきました。ここまでの過程で東地区で優勝したり、今日は負けたけど、自分たちのプライドは見せられたと思います。それを出せたのはファンの皆さんのおかげだと思っています。負けてしまって悲しい思いもありますけど、ファンの皆さんを誇りに思うし、チームメートもすごく誇りに思います」
指揮官の安齋竜三も「このチームは自己犠牲もすごくあって、それをみんなで評価し合う本当に良いチーム。最後は勝ちきれなかったけど、自分たちがやってきたことは間違いじゃない」と総括した。
優勝という最大の目標は果たせなかったかもしれない。それでも、コロナ禍という異例のシーズンで団結を強め、ファンと一体になって『ブレックスメンタリティー』を最大限に昇華させた今シーズンは、最高の結果とも言えるはずだ。
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