富樫勇樹

大混戦で迎えたクラッチタイム、富樫勇樹が違いを作り出す

Bリーグの2020-21シーズンはコロナ禍を乗り越えてファイナル第3戦の最終日を迎えた。初戦を千葉ジェッツ、第2戦を宇都宮ブレックスがそれぞれ完勝して迎えた最後の決戦は、ファイナルに相応しい激戦となった。

千葉は3ポイントシュートを高確率で決めることで第2クォーター序盤に2桁のリードを得る。しかし宇都宮は自分たちのシュートがことごとくリングに嫌われてもディフェンスで耐え、ライアン・ロシターと遠藤祐亮の3ポイントシュートが連続で決まりビハインドを覆す。その後、千葉は富樫勇樹のファウルトラブルで勢いに乗れず、宇都宮は比江島慎が積極的に仕掛けるもディフェンスを崩しきれずに、第4クォーターに入っても点差が開かない大接戦となった。

終盤に違いを見せたのは千葉のエース、富樫勇樹だった。残り5分、ドライブで崩してのパスでギャビン・エドワーズにファウルを誘発させ、フリースロー2本で57-56と逆転に成功。続いてピック&ロールを使う鵤誠司を囲い込むチームディフェンスでボールを奪うと、富樫が誰よりも速くトランジションで走り出して速攻のレイアップへと持ち込む。ディフェンスでも上手くボールを回されてフィジカルで上回る鵤に一対一に持ち込まれるが、簡単に押し込まれずヘルプを待って守り切った。

宇都宮は比江島がコー・フリッピン相手の1対1からタフなミドルジャンパーを決めて詰め寄るも、直後にシャノン・ショーターに同じようなミドルを決め返され、続くポゼッションで比江島がファウルアウトに。再びショーターのミドルシュートがリングに嫌われたところで、ゴール下で良いポジションを取ったセバスチャン・サイズがタップで押し込み、残り38秒で千葉が65-60とリードを広げる。

最後のタイムアウトを取った宇都宮は、最もシュートタッチの良い遠藤にワイドオープンのチャンスを作り出すが、遠藤のシュートはまさかのエアボールに。残り28秒からファウルゲームに持ち込むしかなかった。

千葉はショーターが6本のフリースローをすべて沈め、最終スコア71-62で勝利。最後の最後で富樫勇樹のエースらしい活躍、そしてチーム一丸で攻守に隙のないゲーム運びで初優勝を勝ち取った。