シャノン・ショーター

シャノン・ショーターが個人技で違いを作り出す

Bリーグはシーズンを締めくくるファイナルに突入。宇都宮ブレックスと千葉ジェッツが、横浜アリーナで激突した。

宇都宮の先発は鵤誠司、遠藤祐亮、LJ・ピーク、ライアン・ロシター、ジョシュ・スコット。対する千葉は富樫勇樹、佐藤卓磨、原修太、ジョシュ・ダンカン、セバスチャン・サイズがコートに立った。

立ち上がり、千葉に優位を引き寄せたのは原の思い切りの良いシュートだった。タフな3ポイントシュートをねじ込んで最初の得点を奪うと、富樫の3ポイントシュートに続いて今度はドライブで切り込んでシュートを決めることで、開始3分で10-2と千葉に先手を取らせた。それでも宇都宮はスコットがオフェンスリバウンドから得たフリースローを機に、ピークの3連続得点で10-10と追い付いた。

ここからはファイナルらしく、互いに持ち味を消し合って膠着状態に入る。宇都宮は千葉の3ポイントシュートにしっかり寄せて決めさせず、千葉はボックスアウトを徹底して宇都宮のオフェンスリバウンドを封じる。宇都宮は比江島慎、千葉は西村文男とベンチから出た選手が3ポイントシュートを決めたものの、大きな差は生まれずに試合は進んだ。

それでも第2クォーターに入ってシャノン・ショーターが個人技で違いを作り出す。ショーターがターンアラウンドからのジャンプシュートを沈め、エドワーズと囲い込んで比江島のターンオーバーを誘ってファストブレイクでの3点プレーに持ち込む。西村はそのショーターが攻めやすい展開を作り出すとともに、勘所の良いディフェンスで宇都宮に流れを作らせなかった。

宇都宮はここでロシター、スコット、ギブスを同時に起用するビッグラインナップを使う。単純にビッグマンを並べるだけでなく、相手の意識をインサイドに向けて外から仕掛ける攻めで、劣勢を一気に覆した。こうして両者が譲らないまま、千葉が36-35と1点をリードして前半を折り返した。

セバスチャン・サイズ

サイズとエドワーズを中心にリバウンドで宇都宮を大きく上回る

後半も拮抗した展開が続くが、千葉は得意のファストブレイクこそ出せないもののスピードを生かした攻めで相手のファウルを引き出し、開始4分で宇都宮のチームファウルが5に到達。第2クォーターと同様に、ここで宇都宮はビッグラインナップで踏み留まろうとするのだが、サイズとパワーこそアップしたもののフロアバランスが悪く、ファウルできない状態であることもあってゴール下までアタックできずに、ミドルレンジからのシュートを外しては千葉のトランジションを許してしまい、千葉に流れを明け渡してしまった。

ビッグラインナップにしたことで、個々のリバウンドへの意識が甘くなったのも響いた。ゴール下で良いポジションを取られたギャビン・エドワーズにタップシュートを連続で決められ、さらには強引なアタックにフリースローを献上して点差を2桁に広げられてしまう。

千葉はここで一気に勢いに乗った。富樫が渡邉裕規とのルーズボール争いに勝ってショーターの速攻を生み出し、さらにはエドワーズにも速攻が飛び出す。こうして千葉が57-46とリードして最終クォーターを迎えた。

2桁のビハインドを背負う宇都宮は、焦る気持ちから攻守にミスが続く。ディフェンスの連係ミスでイージーシュートを許したり、ボール運びの段階でミスが出たり、リバウンドで負けられないと強く取りにいけばファウルをコールされるなどチグハグで、いつしか盤石の安定感が失われていた。コー・フリッピンに豪快なアタックからインサイドを割られ、たまらずタイムアウトを取るも、その直後にもフリッピンに再び個人で打開されて流れを変えられない。

千葉は2桁のリードを保ちつつ、富樫とショーターが交互に仕掛ける効率の良いオフェンスを遂行して時間を進めた。残り1分18秒、ドライブで仕掛けた富樫のシュートは宇都宮のプレッシャーにより外れたものの、オフェンスリバウンドを拾ったダンカンが強引にねじ込んでバスケット・カウントをもぎ取る。ボーナススローも決めて80-65とし、宇都宮の闘志を断ち切った。

最終スコア85-65で千葉が完勝を収めた。サイズとエドワーズを中心にリバウンドで大きく上回り、宇都宮の最大の武器であるセカンドチャンスポイントで24-6と逆に圧倒したことが勝因となった。宇都宮のビッグマン3人合わせた数を上回る16リバウンドを獲得したサイズは「明日も同じエナジーで戦う」と、明日の第2戦での必勝を誓っている。