デリック・ローズ

ランドル、ローズ、ギブソンが目覚めた後半に逆転勝利

ホークスとのプレーオフファーストラウンドの初戦を落としたニックスは、第2戦でも前半を終えて44-57と苦戦していた。それでも後半になってベテラン2人が主役を演じてチームを勢いに乗せ、逆転勝利へと導いた。

その一人はデリック・ローズだ。ベンチから出るポイントガードが彼の役割だが、後半は頭からコートに立ってオフェンスを牽引。前半はボールムーブが少なく、ジュリアス・ランドルが良い形でパスを受けられずに2得点とブレーキになったが、後半はローズがクリエイトしてランドルの得点が伸びたことで、チームオフェンスが活性化した。もちろんローズは自らも積極的に仕掛けて得点を重ねていった。

ニックスの先発ポイントガードはエルフリッド・ペイトンだが、初戦でトレイ・ヤングを抑えることができず、この試合ではディフェンスに全力を注いだが、それでもニックスのペースは揺らがなかった。

「何か変える必要があったから、僕がそれをやった」とローズは言う。

「初戦ではチーム本来の力が発揮できていなかった。個人的にもそう感じていた。僕自身が低調だったから、この試合では激しくプレーする姿勢を出して、チームを引っ張ろうとした。若くて才能あるチームと戦い、最後に勝って終わることができて良かった。全員がステップアップして、ビッグプレーをやってくれたよ」

ケガをする前の爆発力は戻らないかもしれないが、より深い意味でバスケを知り、自分の身体の使い方を学んだローズはプレーオフで主役を張れる存在になっている。その彼がセカンドユニットの役割に甘んじているのは、故障のリスクを考えてのことだろうが、この試合でのローズは若い選手の多い両チームの中で最長の39分プレーして、ゲームハイの26得点を挙げた。

「このために準備してきたから、プレータイムが長くても大丈夫だ。ここ数年、一生懸命に身体を鍛え、コンディション管理にも気を配っている。あまりケガの心配をされると、何か悪いジンクスにハマる気がするからやめておこうよ。僕は元気なんだ」

もう一人は、ローズとともに長くシボドーの下でプレーしてきた35歳のタージ・ギブソンだ。彼もベンチスタートながら30分プレーし、ゴール下で身体を張った。6得点7リバウンド1アシスト3スティール。それ以上に彼がコートに立っていた間の得失点差+23という数字が、攻守における貢献を物語る。

指揮官シボドーは愛弟子である2人の働きがよほどうれしかった様子。「ウチにはプレーオフを経験していない若手が多いが、これはとにかく試合数を重ねる以外に対処できない。試合をこなすごとに彼らは成長していく。しかしウチにはデリックやタージがいて、彼らはビッグゲームを経験済みだ。そのことが我々に大きなプラスをもたらしてくれるよ」

敗れた第1戦ではトレイ・ヤングへの怒りが渦巻いたマディソン・スクエア・ガーデンは、この試合後は祝祭の場と化した。ファンは興奮冷めやらず、アリーナ前で大騒ぎを続けた。これも経験豊富なローズにとっては『通った道』だ。観客と相手チームのエースの間の敵対心について、あまり興味なさげにこう語る。「最近はこのリーグもソフトだけど、もともとこれがバスケットボールなんだ。トレイが素晴らしいプレーをして、観客が反応し、雰囲気が盛り上がる。つまり、僕にとっては慣れたものなんだよ」