三好南穂

「本当にただ12人のメンバーに入りたい気持ちだけです」

三好南穂は2016年のリオ五輪に22歳で参加している。吉田亜沙美、町田瑠唯に続く3番手のポイントガードだったが、この時から使われ方は1.5番。3ポイントシュートを買われて12人の最終メンバー入りを果たした。

しかし、その後は三好にとって逆風が続いた。トム・ホーバスへとヘッドコーチが代わり、日本代表における3ポイントシュートの重要性は高まったが、同時に大型化も推し進められて『1.5番』というポジションがなくなった。インサイドの髙田真希や渡嘉敷来夢にも3ポイントシュートが求められ、フォワードの宮澤夕貴はランニングプレーから3ポイントシュートへと持ち味を変えることでエースの座をつかんだ。シューターへの期待は常に大きかったが、栗原三佳や水島沙紀のようにシュートが打てるだけでなく、海外の選手と戦う運動量やディフェンスの強度が求められた。

その一方でポイントガードは専業化が進み、藤岡麻菜美、本橋菜子が台頭。三好は代表合宿には呼ばれるものの、最終メンバーに残ることができない。2018年のワールドカップでも、開催国スペインまでチームに帯同しながら最終メンバーに残れなかった。

心が折れてもおかしくない経験が続いているが、その翌年の時点で三好は「私としては毎回の合宿で後悔せずに出すことが大事で、それができていれば後悔なくすっきり終われます。そこでリセットして、また呼んでもらえるなら行きたい」と語っている。

現在行われている日本代表の強化合宿は、チームにとっては東京オリンピックに向けた強化であり、選手にとっては代表生き残りを懸けた競争だ。先週に行われた取材対応で三好は、「本当にただ12人のメンバーに入りたい気持ちだけです」と語る。

「毎年のように候補には選んでもらっていますが、実際にA代表に入ったことがあるのはリオしかなくて、今までの落ちた悔しい思いを全部、今年こそ入れるように、という気持ちでやっています」

三好南穂

3人制ではなく5人制を選択「リオに出た経験を生かして」

吉田に藤岡が相次いで現役引退し、本橋は膝の大ケガから復帰を果たしたところで、今のポイントガードの状況は三好にとって大きなチャンスだ。そこで三好は『3ポイントシュートで勝負する』という自分のスタイルを曲げずに挑んでいる。自分のプレーを変えると迷いが出る、吹っ切れることができれば積極性が出てプレーも良くなる、というのが三好の考えだ。

「自分の仕事である3ポイントシュートを打つことは、合宿の中でも徹底してやれています。やっぱり確率がまだまだなので、もっと精度を上げていかなきゃいけない。相手が大きい分、普通の3ポイントエリアで打つのが難しいので、遠くから打つことを意識しています。1メートル以上遠くから打てるように、それで練習では50%ぐらい決めていきたい」

今の日本代表はどの選手も3ポイントシュートが打てる。その中で自分をアピールするには、突出した結果を残すしかない。「確率の高いシューターやクイックで打てるシューターがいますが、私の強みは遠くからでも打てるところ。そこは積極的に狙っていきます。あとはどんなに落ち続けても打ち続ける、そのメンタルを強く持ってやっていきます」

この何年か、三好は3人制の『3×3』の日本代表にも参加し、国際大会にも出場していた。今まさに、一緒にやっていたメンバーはオーストリアで東京オリンピック予選を戦っているが、今年度の代表活動がスタートするにあたり、三好は自ら5人制を選択した。「どちらも際どい、代表に入れるか入れないかのラインにいますが、5人制の方が今までの自分の経験を生かせると思いました」

それはやはり、リオでオリンピックのコートに立った経験があるからだ。出場機会が多かったとは言えないが、世界の強豪フランスを相手にステップバックで決めた3ポイントシュートは、三好らしい一発だった。

「オリンピックは選手にとって特別な場所。リオに出た経験を生かして、東京オリンピックでも発揮できればと思います」と語る三好は、今度は自国開催のオリンピックのコートに立つことを目指す。