琉球ゴールデンキングス

エバンスの値千金のバスケット・カウントで幕

琉球ゴールデンキングスが5月23日、チャンピオンシップのセミファイナル第2戦で千葉ジェッツと対戦。ゴール下の大黒柱ジャック・クーリーが勝負どころでファウルアウトとなり、、ドウェイン・エバンスも試合途中で負傷による一時離脱となったが、その苦境をチーム一丸となってのハードワークで乗り越え、84-78で勝利した。

初戦を落とし、後がない琉球は出だしで岸本隆一が大暴れ。最初のシュートを決めると開始2分半で9得点を挙げ、琉球が12-0と先行する。だが、千葉は西村文男がチーム初得点となる3ポイントシュートを残り6分半にようやく決めると、ギャビン・エドワーズがインサイドアタックからのフリースローで得点と、強みを生かして盛り返した。それでも、琉球はこのクォーターで3ポイントシュート6本中4本成功と、チーム全体でシュートタッチが良く28-18とリードを奪う。

第2クォーターに入ると、千葉が反撃する。前半のペイント内での得点とセカンドチャンスポイントがともに4と、ゴール下で得点はできないが、ミドルシュートを確率良く決めていく。そして、このクォーター最初の5分で許した失点は3のみと、プレッシャーを強めることで、琉球のシュート精度を落とし、自分たちの流れに持っていくことで37-40と盛り返した。

後半に入ると、一進一退の攻防が続くが、千葉はシャノン・ショーターがドライブ、3ポイントシュートによる連続得点と、持ち前の爆発力を見せる。さらにインサイドアタックで突き放しにかかるが、琉球も終了間際に並里成がジャンパーを決め千葉の4点リードと僅差のまま第4クォーターに突入する。

残り8分、琉球は岸本が十八番のロング3ポイントシュートを沈め会場沸かせるが、千葉は直後にショーターがドライブを決め、流れを渡さない。また、琉球がスティールからの速攻でレイアップを決めきれないミスを犯すと、千葉はエドワーズがドライブからターンして技ありのフィンガーロールを沈めて、残り6分で8点にまでリードを広げた。

その後、琉球は4点差迫るが、残り4分15秒にゴール下の要であるクーリーが痛恨のファウルアウトと、強力インサイド陣の千葉相手に絶体絶命の危機を迎える。だが、ここで琉球は岸本、キム・ティリの連続3ポイントシュート成功によって残り1分半で76-75と逆転。千葉も富樫のジャンプシュートですぐにひっくり返すが、残り34秒、琉球は左肩を痛めながらもアタックを続けたエバンスが値千金のバスケット・カウントを獲得。これで再逆転に成功した琉球が逃げ切り、前日の雪辱を果たした。

琉球ゴールデンキングス

「ディフェンスとリバウンドを頑張った選手たちはすごい」

琉球の藤田弘輝ヘッドコーチは、「40分ファイトを続けた選手たちが勝ち取った勝利。リバウンドを全員で頑張った、そこに尽きると思います」と、前日は支配されたリバウンド争いで、オフェンスリバウンドを15-10、トータルでも46-34と上回ったことを勝因に挙げる。

ただ、指揮官は前日から「戦術は特に変えていないです」と語り、その理由をこう明かす。「昨日は再現性の低いやられ方でした。リバウンドはどこに飛んでいくか分からないですし、ビッグマンのアタックに対しても、守備では前に入っているタフな状況で、相手が決め切った感じでした。そういうやられ方に関しては、もう一歩頑張ろうと言うしかない。そこをみんなが意識してやってくれた結果だと思います」

また、「これだけインサイドの強い千葉さんを相手に、あの時間帯でジャックがいなくなるのは精神的にかなり堪える出来事だと思いますが、そこでグッと堪えてディフェンスとリバウンドを頑張った選手たちはすごいです」と語ったように、クーリー退場の劣勢を乗り越える価値ある勝利となった。

一方、千葉の大野篤史ヘッドコーチは、「アグレッシブなディフェンスを最初にやらなかった」と、ソフトな立ち上がりを悔やみ、敗因をこう語る。「ポゼッションで負けてしまったことに尽きると思います。セカンドチャンスから打たれてはいけない3ポイントシュートを打たれてしまう。そういうことをしていたら勝てるものも勝てない、典型的な試合でした」

これでシリーズの結末は、明日の第3戦に持ち込まれた。両チームの力は拮抗しており、月並みな言い方だが、どちらがより強い気持ちで自分たちのやるべきことを貫けるかが勝敗を分ける。

18得点を挙げた千葉のエース、富樫勇樹は言う。「この1年間、何のためにやってきたのかをもう一度考え、コートでそれを出せればと思います」。そして、大野ヘッドコーチは試合後、次のように選手に語ったと明かす。

「今日の課題には何も触れずに、明日勝ってファイナルに行くか、負けてシーズンを終えるかのどちらか。今日のことをいくら悔いても戻ってこないから明日、勝つために何をしなければいけないのか考えようと伝えました」

逆王手をかけた琉球の藤田ヘッドコーチは「今日、すごく良い状態でチームとして戦えました。僕たちは乗ったらチームとして良い状態に入れる。この勢いをしっかり明日に活かしたい」と、今日の勢いを明日にうまく繋げたいと意気込む。

そして、あらためてメンタルの大切さを語った。「明日は気持ちの部分だけだと思います。千葉さんの優勝に懸ける思いは強く、チャンピオンチームのインテンシティでこの2日間戦っていますが、明日はもう1段階レベルが上がってくると思います。そこに対して強い気持ちでやっていきたいです」

この2試合をさらに上回る激闘が期待される明日の第3戦が、今から待ちきれない。