『三度目の正直』のファイナル進出を目指す琉球、自信を強める岸本隆一「良いメンタリティで僕自身は戦えたと思っています」

『三度目の正直』のファイナル進出を目指す琉球、自信を強める岸本隆一「良いメンタリティで僕自身は戦えたと思っています」

2021/05/20 18:15
岸本隆一

「気持ちを込めるだけでなく、冷静さを持ちながら戦っていきたい」

琉球ゴールデンキングスは、チャンピオンシップのクォーターファイナルでGAME3までもつれた富山グラウジーズとの対戦を制し、千葉ジェッツとのセミファイナルに駒を進めた。

1勝1敗で迎えた第3戦、琉球は第4クォーター終盤に富山の猛追を受け、残り2分で17点あったリードを、残り15秒には4点差まで縮められていた。その状況で、この5月17日が31歳の誕生日だった岸本隆一は、相手のファウルゲームで得たプレッシャーのかかるフリースローを確実に沈めるなど、16得点6リバウンド4アシストと攻守に奮闘した。

この試合での琉球の勝因は、第2戦で97失点と崩れてしまったディフェンスを立て直したことだ。岸本は言う。「ウチの強みはチームディフェンスですが、昨日はそれに頼りすぎてヘルプを待ちすぎました。今日はそれぞれが自分のマークマンにしっかり責任を持ってディフェンスすることで良い方向にいきました。(ジュリアン)マブンガ選手、(ジョシュア)スミス選手にある程度の点数は取られても、昨日の岡田(侑大)選手のように他の選手に多くを取られることがないようにできました」

今シーズン開幕前の時点で、岸本は琉球がこれまで戦ったチャンピオンシップ13試合に出場している。ポストシーズンの経験は豊富だが、そのアドバンテージを今回のシリーズで感じることはなかった。

「自分が今まで経験したチャンピオンシップの慣れはほとんどなかったです。昨シーズンにチャンピオンシップがなかったのが影響しているのか、意識しないと地に足がつかない状況が多かったです。ただ、今日は慣れというか、良いメンタリティで僕自身は戦えたと思っています」

本人も語るように、第3戦ではベテランらしい落ち着きを発揮して勝利に貢献できた。セミファイナルでも同じく、気合を入れて激しいプレーを続ける中でも、常に冷静さを忘れないことが大事だと岸本は強調する。

「まずは平常心でプレーし、必要以上に相手の勢いに飲まれない。調子が良い時こそ地に足をつけ、良くも悪くもフラットな状態でプレーすることが大事です。ゴー・トゥー・ガイ、勢いを生む選手が鍵となります。今日は(今村)佳太にとにかくボールを回そうと意識していました。そして勝負どころで自分が行かなければいけない場面では、しっかりと高い集中力を保ってプレーする。気持ちを込めるだけでなく、冷静さを持ち試合状況を把握しながら戦っていきたいです」

岸本隆一

「何が必要かを見極めて、それを実行することに自信がついた」

琉球にとってセミファイナル進出は、途中で打ち切りとなった昨シーズンを例外とすれば3シーズン連続となる。だが、過去2回と今では全く別のチームだ。前回、2018-19シーズンのチャンピオンシップで、1試合20分以上と安定して試合に出ていたメンバーで今も残っているのはキャプテンの田代直希のみ。

このシーズン終了後にチームは解体され、古川孝敏、アイラ・ブラウン、橋本竜馬、須田侑太郎と主力選手が相次いで移籍した。今の琉球は選手のネームバリューや経験で言えば2年前と比べて劣るのは否めない。だが、チーム創設時から磨き上げてきた堅守を軸とするスタイルにブレはなく、チームの文化として積み上げてきたハードワークによって再びセミファイナルの舞台に戻ってきた。

2年前、第3戦の末にアルバルク東京に敗れたセミファイナルで、岸本は第1戦から10分17秒、9分31秒、12分54秒のプレータイムに終わった。しかし、今のチームで彼はまごうことなき要の一人だ。持ち味の3ポイントシュートに加え、ゴール下へのアタックによるチャンスメーク、前から激しく当たるディフェンスでもチームを鼓舞し続けた。

だからこそ、藤田弘輝ヘッドコーチはチャンピオンシップで岸本をスタートに選び、富山との第1戦終了後にこう語っている。「岸本選手のプレーに支えられてきた部分が今シーズンはとくに大きかったと思います。だから彼がスタートで出て、何かあったら並里(成)選手が交代で出てくる。これでチャンピオンシップを戦おうと決めました」

岸本はこの信頼に「ヘッドコーチがそうおっしゃってくれるとすごく意識しちゃいます」と笑顔を見せ、そしてこう続けた。「良い意味で先に出る、後から出るとかのこだわりはないです。チームにとって何が必要かを見極めて、それを実行することには自信がついたシーズンです」

琉球が勝利のために必要なこと、その一つとしてファンが期待するのは岸本の代名詞であるロング3ポイントシュートだ。沖縄のホームゲームにおいて、生え抜きの地元選手として常に大きな期待を背負い、そこから逃げることなく戦い続けた岸本の長距離砲だからこそ生み出せる熱狂は確かにある。

本人は当然のようにチームファーストで、何がなんでも自分が得点、というこだわりはない。だが、間違いなく岸本の3ポイントシュートが求められる時は来るはずだ。そこで沖縄アリーナのボルテージが一つ上のレベルに上がった時、琉球にとっては『3度目の正直』でのファイナル進出が見えてくる。

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