グリズリーズ

『プレーオフらしさ』が漂い始めた終盤、グリズリーズが成長を示す

2年連続でプレーインに回ったグリズリーズと、2年ぶりのプレーオフを目指すスパーズの対戦は、試合開始からグリズリーズはジャレン・ジャクソンJr.やジャ・モラントの3ポイントシュートが決まり、相手ディフェンスを広げたことでインサイドでも次々に得点を奪って、早々に20点のリードを奪いました。しかし、気持ち良くシュートが決まったのはこの序盤だけで、その後はお互いのハードなディフェンスがぶつかり合う展開が続きました。

グリズリーズが明確なアドバンテージを取るのは、23得点23リバウンド3ブロックを記録したヨナス・バランチュナスのところで、スパーズはゴール下のカバーリングに動いては3ポイントシュートを決められました。しかし、バランチュナスが下がり、ベンチメンバーになった第2クォーター序盤にディフェンスが緩み、スパーズにスピードでインサイドを攻略されました。攻めでもインサイドの核がいなくなったことでプレッシャーを効かされ、シュートが全く決まらなくなったため、試合は振り出しに戻ります。

楽勝ペースから現実に突き戻され、若いグリズリーズが耐え切れなくなる可能性もありましたが、インサイドを優先してふさぎ、ディフェンスリバウンドを確保する堅実なディフェンスでなんとか踏み留まります。攻守にインサイドでイニシアチブをキープできることはグリズリーズの大きな強みで、重要な一戦で苦しい状況に追い込まれても変わりませんでいた。

第3クォーターになるとお互いのディフェンス組織が乱れることなく、ハードな戦いが続いたことで楽なシュートが打てなくなり、お互いに3ポイントシュートが1本も決まらず、16点しか取れませんでした。前半と違ってチームオフェンスは機能せず、次第に個人のオフェンス力に頼る展開に推移していき、『プレーオフらしさ』が漂い始めます。

先に個人技で突破したのは絶好調のディロン・ブルックスで、1対1からのアタックでグリズリーズに再びリードをもたらしますが、スパーズはここまでミドルシュートが決まらなかったデマー・デローザンが粘り強いファウルドローと長い距離のフローターで巻き返し、残り7分に逆転に成功します。

すると今度はモラントが積極的に自分で得点を取りに行き、再びグリズリーズにリードをもたらします。2日前のウォリアーズ戦ではシュートを打ち切れずパスを選択することが多かったモラントですが、この試合では終盤になってより積極性を増しました。加えてグリズリーズはシュートミスをバランチュナスやデズモンド・ベインが押し込み、エースをハードワークで支えたことで、スパーズを突き放すことに成功しました。

2年目のモラントを中心とする総合力でしぶとく勝利してきたグリズリーズですが、お互いの手の内を読み合うプレーオフの戦いでは連携が封鎖されるため、時に個人で得点を取り切るプレーが重要になります。レギュラーシーズン最終戦となったウォリアーズとの8位決定戦ではまさにそんな展開で封じ込まれましたが、この試合では見事に勝利し、プレーオフ進出を懸けて再びウォリアーズと相まみえることになりました。

プレーオフ1試合の経験はレギュラーシーズンの1試合とは大きく異なります。そんな成長を感じさせたグリズリーズは、次の試合でさらにステップアップすることが期待されます。若いチームだけに勝てば勝つほど成長していくはずです。わずか中3日での再戦になりますが、ウォリアーズ相手に自分たちの可能性を試す、楽しみな試合になりそうです。