「今まで持っていなかった『自分がやってやるぞ』という気持ち」
今シーズンに大きく飛躍した若手の一人がシーホース三河のシェーファー・アヴィ幸樹だ。
現在23歳のシェーファーは、2018-19シーズン中にアルバルク東京に加入してプロキャリアをスタートさせると、2019-20シーズンはプレータイムを求めて滋賀レイクスターズへレンタル移籍した。滋賀では41試合のすべてに出場し、そのうち9試合で先発を務め、平均プレータイム15.2分で4.1得点、4.5リバウンドを記録。206cmのサイズに加え、フィジカルも強く、なおかつ走れるビッグマンとして存在感を発揮した。
キャリア3年目となる今シーズンはシーホース三河に移籍し、55試合のすべてに先発として出場。平均プレータイムは25.3分にまで増え、9.5得点、4.7リバウンド、1.3アシストと軒並みキャリアハイを更新した。昨シーズンはシーズンを通して1本しか打たなかった3ポイントシュートも、今シーズンはトータルで103本も放ち、そのうち37本を成功させてプレーの幅も広げている。
高校の途中からバスケを始めたシェーファーは、今までは経験のなさを露呈するシーン、咄嗟の判断が効かない場面も見られた。それでも、日頃から外国籍選手とマッチアップして経験を積み、三河に欠かせない選手へと成長を遂げた。
「今シーズンはコロナの影響があったり、ケガ人も続出して終盤になるに連れて厳しい時期が続きました。その中で自分は全試合にスタメン出場できて、使ってくれたコーチやコンディションを整えてくれたスタッフさんに感謝しています。とにかく全試合、ケガなく終えられたことが一番良かったです」とシェーファーは今シーズンを振り返った。
シェーファーが言うように、シーズン終盤は根來新之助とシェーン・ウィティングトンが負傷し、さらに大黒柱のダバンテ・ガードナーも足首を負傷し、痛み止めを飲みながら戦う状況だった。その中でシェーファーにかかる負担も増えていったが、チャンピオンシップの2試合では平均10.5得点、9.0リバウンド、2.0アシストを記録しチームを支えた。
「シーズン終盤はビッグマンがケガをして、自分のプレータイムが増えました。その中で自分としては新しい気持ちというか、今まで持っていなかった『自分がやってやるぞ』という気持ちを少しずつ感じることができました。この逆境を上手いこと自分の成長に変えられたかなと思います」
「自分がチームにすごく影響を与えるという部分で楽しかった」
シェーファーは、今シーズンで一番成長した部分を「アグレッシブさかなと思いますが、どちらかというとメンタルだと思います」と言う。
「自分がやらなきゃダメだという部分。良い言い方ではありませんが、今まではある意味、あまり責任を感じなくていい立場でした。それが今シーズンは僕のプレー一つひとつが直接勝敗に影響して、特に終盤戦に至っては僕がチームを勝たせられるかどうか、というところでした。そういう意味ではメンタルの部分、自分に対する責任、自分に自分でプレッシャーをかけて、それを跳ね除けてプレーするという部分が一番成長できたと思います」
こう語るシェーファーに、今までにない責任感を抱えながらプレーした今シーズンは、『プレッシャー』と『楽しさ』のどちらが大きかったかを問うと「どちらもですね」と笑顔で答えた。
「やっぱりプレッシャーが大きくて、特にコロナでの試合中止明けに4連敗した時は、かなり責任を感じて落ち込んだ時もありました。でも、その中でも自分自身は良いプレーもできていたし、調子も上がってきていました。そういう意味では、自分がチームにすごく影響を与えるという部分で楽しかったですね」
プレッシャーに潰されるのではなく、生かすことでプレーだけでなくメンタル的にも成長を遂げたシェーファーが、これからさらにどんな成長を見せてくれるのか楽しみだ。