ディフェンスから主導権を握り、ファジーカスの得点爆発で勝利
大阪エヴェッサと川崎ブレイブサンダースが激突したチャンピオンシップ、クォーターファイナルの初戦。両チームともアイラ・ブラウンとニック・ファジーカスの帰化選手を含めたビッグラインナップを先発に使ってきたが、試合のスタートを飾ったのは藤井祐眞のプルアップジャンプシュート連発、角野亮伍の3ポイントシュートと日本人選手による得点だった。
第1クォーターは大阪のディージェイ・ニュービル、川崎のジョーダン・ヒースとオフェンスのキーマンがお互いにマッチアップして持ち味を出させず、ロースコアの展開に。それでも第1クォーター終盤から川崎のディフェンスの強度が大阪のパスワークを遮断し、『走るバスケ』に持ち込みたい大阪を停滞させた。
川崎はゲームプラン通りの展開に持ち込んだものの、3ポイントシュートの確率が上がらないことで得点が伸びない。大阪は攻めが停滞してニュービルとアイラ・ブラウンの個人技に偏ることになったが、彼らが個の力で得点することで食らい付き、35-42と大きな差を付けられることなく前半を終えた。
圧倒されつつも何とか踏ん張った大阪だが、ハーフタイムの修正が利かない。トランジションでの攻めが出せないとパスの出しどころがなく、ニュービルが個で打開する単調な攻めが後半も続く。ディフェンスもローテーションが間に合わずに、ジョシュ・ハレルソンを中心にゴール下で個が踏ん張るだけの守備となった。ニュービルにアイラ、角野と個人で良い得点は生まれるものの、ミスマッチを狙ってイージーなチャンスを作っていく川崎のペースが上回る。特に立ち上がりはシュートタッチの良くなかったファジーカスが第3クォーターだけで17得点を挙げ、同じ川崎優位でもシュート確率が上がらずスコアが伸びなかった前半の課題を修正して、一気に大阪を突き放した。
58-70と2桁のビハインドを背負って最終クォーターを迎えた大阪。ニュービルを中心とした爆発力に逆転の望みを託したいところだが、いつもは試合が進むにつれてギアを上げていくニュービルは前半からビハインドを背負う状況でエンジン全開。チームオフェンスが機能しない中で個人での打開を繰り返していたために疲弊していた。さらに川崎がニュービルに対して、2点は許しても3ポイントシュートは絶対に打たせない守り方を徹底したこともあり、その爆発力は封じられた。
後手に回った大阪は個人技頼みに、終盤は息切れ
試合を通じて大阪の持ち味を封じ込めた川崎が、第2クォーター以降は常に主導権を握って95-75で勝利。ファジーカスが25得点とスタッツでは目立ったが、12分の出場で12得点を挙げたシックスマンの大塚を始め、10分の長谷川技に6分半の青木保憲と、プレータイムの短い選手までチームのコンセプトに合わせて自身の持ち味を発揮する全員バスケが機能し、チームとしての完成度で大阪を凌駕した。
大阪はニュービルが23得点、角野が20得点、アイラが15得点を挙げたが、この3人に攻めが依存したというより、他の選手に積極性が見られなかったのが課題。ファストブレイクによる得点はわずか4。『走るバスケ』が抑えられたのは、それに関与する選手が限られていたからだ。得点を挙げた3人はプレータイム以上に疲弊しているはず。明日の第2戦に向けて修正すべき課題の多い完敗となった。