LJ・ピーク

迷わず押し切る積極性を見せたピークが28得点を記録

今日からB1は優勝を争う2戦先勝のトーナメント、チャンピオンシップに突入。東地区首位の宇都宮ブレックスは、ワイルドカード下位のサンロッカーズ渋谷を迎え撃った。

どちらもディフェンスから勢いをつかみたいチーム。宇都宮は鵤誠司が前からフィジカルに当たることで相手のオフェンスを思い通りに組み立てさせず、SR渋谷は相手のピック&ロールにブリッツを仕掛ける組織ディフェンスで対抗する。宇都宮はLJ・ピークがマッチアップする日本人選手をフィジカルで押し切る力強いアタックで得点して先行し、SR渋谷は矢継ぎ早にメンバーを入れ替えながら集中力を高く保ちつつ、3ポイントシュートで対抗する。

チャールズ・ジャクソンが運ぶボールをジェフ・ギブスが引っ掛け、ルーズボールを狙って両者がフロアに飛び込む姿はチャンピオンシップならでは。第1クォーターは両者一歩も引かない展開となったが、それでも5本のフリースローを落としたSR渋谷に対し、宇都宮が18-14と先行した。

第2クォーターも均衡は続き、パワーのあるジャクソンかジェームズ・マイケル・マカドゥがゴール下に陣取ってパスを呼び込み、そこに相手ディフェンスを引き付けては外のシュートを決める攻めでSR渋谷が流れをつかみかけたのだが、チームファウルがかさんでディフェンスの強度を保てなくなったのを機に、宇都宮が一気に流れをつかむ。ペイントに突っ込む強引な攻めが得点となり、オフェンスリバウンドも宇都宮が取るようになった。ゴール下をこじ開けては確率の高い2点シュートを重ね、43-31と2桁リードで試合を折り返した。

第3クォーターも宇都宮の激しさが上回る状況だったが、52-35とリードを広げたところで、ゲームが止まったところで相手選手と衝突したライアン・ロシターが出血のため一時コートを離れることに。この間にSR渋谷はジャクソンを中心にインサイドを支配し、運動量でも宇都宮を上回るように。第2クォーターの裏返しでチームファウルの溜まった宇都宮を攻め立て、マカドゥがロシターが下がった後だけで11得点を挙げて猛追する。

ジェームズ・マイケル・マカドゥ

マカドゥ、ジャクソンの奮闘虚しく、SR渋谷は追い付けず

65-55と10点差で迎えた第4クォーター、ピークがミスマッチを突いたかと思えばコーナーでステイしての3ポイントシュート成功と良い得点を連発すれば、SR渋谷はジャクソンとマカドゥが宇都宮のインサイドを制圧して押し返す。オフィシャルタイムアウト明け、宇都宮のピック&ロールに対してSR渋谷のブリッツが決まる。ボールを奪われた遠藤祐亮はすぐに相手を止めたが、これがアンスポーツマンライクファウルに。その後にギブスが個人4つ目のファウルでベンチに下がり、チームファウルも5に達した。

こうしてSR渋谷は2ポゼッション差まで詰め寄るのだが、宇都宮は慌てなかった。相手の激しさに押されながらも踏ん張り、そこから先には行かせない。残り1分、ロシターからピーク、ピークがドライブして完全にフリーになったロシターへパスを戻す完璧なコンビネーションプレーが決まる。ファウルゲームを仕掛けたSR渋谷は山内盛久の3ポイントシュート2本で追いすがるも、リードを守り切った宇都宮が92-84で第1戦をモノにした。

両チームともに激しいディフェンスで拮抗する中、違いを作り出したのはピークだった。ミスマッチになれば迷わず押し切る積極性を見せ、フィニッシュも正確でフィールドゴール12本中10本成功、フリースローも9本中7本成功の28得点を記録。SR渋谷のチームディフェンスが機能している時間帯に、個の力で押し破ることでリズムを狂わせた。SR渋谷ではジャクソンが19得点16リバウンドとハッスルしたが、苦手のフリースローでは12本中成功わずか3本と絶不調。ここを決めていれば、と思わずにはいられない。

安齋竜三ヘッドコーチはこの試合を前に「ターンオーバーが少なければ点数もそれなりに伸びていくはず。そうなればウチの流れ」と語っていたが、前半のターンオーバーはわずか3。ここで自分たちに流れを引き寄せたことが最大の勝因となった。