安藤誓哉

「実力がなかったと受け止めるしかない」

5月5日、アルバルク東京は横浜ビー・コルセアーズと対戦した。この日がホーム最終戦ということもあり、A東京として是が非でも勝利で終えたいところだったが、あと一歩及ばずに71-73で敗れた。

第2クォーターにはターンオーバーから速攻に繋がれるなど、0-18のランを許した。その後に持ち直すと、第3クォーターには安藤誓哉が2本連続で3ポイントシュートを沈めて逆転し、リードチェンジを繰り返す接戦へと持ち込んだ。それでも安藤は「前半はなかなか自分たちのエナジーが出せず、要所でのターンオーバーがかなり響いてしまった」と、第2クォーターのブラックアウトを敗因に挙げた。

「ホーム最終戦だからやるのではなく、毎試合ベストなプレーを心掛けています」と言うように、いつも通りの平常心で試合に臨んだ安藤だったが、やはりホーム最終戦での惜敗はこたえたようだ。なかなか言葉が出てこずに「非常に悔しい思いです」と現実を受け止めた。

「チャンピオンシップを逃し、実力がなかったと受け止めるしかないと最近ずっと思っています。ホームラストゲームでも勝てずに、最後に勝ち切るためのケミストリーが足りなかったと思います」

鉄壁の守備と連動性のあるオフェンス、そして抜群の安定感と勝負強さでリーグ2連覇を成し遂げたA東京だが、今シーズンは新型コロナウイルスの影響をモロに受け、大黒柱アレックス・カークの戦線離脱も重なり本来持つ力を出せなかった。もちろん、これは安藤一人の責任ではない。しかし、今シーズンからキャプテンを任された安藤にとっては受け入れがたい結果となってしまった。

「キャプテンだからといって何かをガラッと変えたわけではないんですけど、重要な役割を与えてもらったので。初年度でこういう結果になってしまい、責任を感じるというより、非常に悔しい思いが強いです」

安藤誓哉

来シーズンに繋げるためにも重要な最終戦

A東京の強さは反復練習で培われたケミストリーと試合中の修正力によるものが大きい。しかし、今シーズンは新型コロナウイルスの陽性者が出てしまい、準備期間が十分ではなかったことが大きく戦績に影響した。安藤も「『アルバルクらしさ』というか、いろいろなディフェンスを仕掛けてくる相手に対し、自分たちのインスピレーションをもっと出していかないといけなかった。毎回同じ攻め方ができるわけではないので、そこの対応をもっとスマートにやらなきゃいけなかったです」と振り返った。

奇しくも、ホーム最終戦は無観客での開催となった。そのため、A東京は『無観客は無応援じゃない』をキャッチコピーに掲げ、ファンから応援メッセージを募った。それら言葉の力を受けた安藤は「画面の向こうで見てくれているファンに伝わるような試合をしたいという思いがありました」と語った。望んだ結果にはならなかったが、最後まで戦う姿勢を貫いた選手たちの姿にファンも感じるものがあったのではないか。

そして明日、A東京はレギュラーシーズン最終戦となる新潟アルビレックスBB戦を迎える。どのスポーツにも共通することだが、特に4クォーター制のバスケットボールでは『終わり方』が重要視される。それはクォーターだけではなく、シーズンの終わり方も同様に大切だ。安藤は言う。「強い試合をしてシーズンを終わろうとルカ(パヴィチェヴィッチ)コーチとも話しました。みんなも同じ気持ちで試合をするので、ファンの方と一緒に戦っていきたい」

本来持つ強さを見せ、来シーズンに繋げることができるか。チャンピオンシップや昇降格がなくても、明日のシーズンラストゲームはA東京にとって大事な一戦となる。