青木保憲

佐藤ヘッドコーチ「もっとやれると思います」

5月1日、川崎ブレイブサンダースはホームでのサンロッカーズ渋谷戦で108-88と圧勝した。SR渋谷は前からの激しいプレッシャーで相手オフェンスのリズムを崩し、試合の流れを引き寄せるのを得意とするが、川崎は佐藤賢次ヘッドコーチが「相手のプレッシャーディフェンスに対して、アタックするメンタルを持ち続けた」と評価した強気の姿勢で相手の重圧を跳ね返した。

その結果として、ゴール下でのイージーシュートが増え、3ポイントシュートもインサイドアウトで気分良く打てるので高確率で決まった。SR渋谷の伊佐勉ヘッドコーチが「ディフェンスをやらせてもらえなかった。ボールプレッシャーをかけられる状態ではなかったです。シュートを決められないまま、ターンオーバーから走られて、ファウルすらできない。第3クォーターの良い時間帯以外はディフェンスをやっていないに等しい」と脱帽する内容だった。

この快心のオフェンスを生み出す上で、見事なサポート役を務めたのが青木保憲だ。13分19秒の出場で6得点2アシスト1スティールを記録し、スタッツに出ない部分での攻守に渡るアグレッシブなプレーも光った。

「相手のポイントガードに気持ち良くプレーさせない。それを第一に、僕以外の4人が気持ち良くプレーできることにフォーカスしています」

青木は自身の役割をこう語るが、この日はまさに有言実行の働きだった。

特別指定での加入シーズンも含めると川崎4年目となる今シーズン、青木はこれまでの篠山竜青、藤井祐眞を休ませるためのワンポイント起用の繋ぎ役から脱却し、プレータイムを伸ばすことへの強い決意を持って臨んだ。しかし、シーズン中盤における故障離脱も影響し、思うように出場機会は増えず。「天皇杯に対する思いは強かったので、その前にケガをしてファイナルラウンドに間に合わなかったのはすごく苦しく、やるせない気持ちになりました」とメンタル面でも厳しい時期があった。

だが、そんな時でも青木は、自分のやるべきことに妥協せず取り組んでいた。佐藤ヘッドコーチは、青木の不断の努力が実を結んできていると見ている。「ケガもあり、プレータイムがない時がありましたが、常に真摯に毎試合、自分の強みやコートに出たら何をするべきか確認する。ベンチで状況をしっかり読んで、コーチ陣とコミュニケーションを取りながら準備をする。そういったことを繰り返してきた結果、たくましくなってきました。もっとやれると思います」

青木保憲

「緊張感、責任感を持ち、自分が与えられた役割をこなせるところを見せる」

青木本人も、自らの成長には手応えを感じている。「本来ならシーズン序盤からこういう形でやりたかったですが、うまくいきませんでした。その中でもアシスタントコーチとのワークアウトや練習の中で積み重ねてきたものが、シーズン終盤になって徐々に形になっていることは自信になります。何よりも試合に出ていることへの楽しさ、うれしさを噛み締めながらバスケットができています」

また、「本当はもっと早くプレーしたかったですが、結果的には焦らずに万全の状態で戻ってこられたのは良かったです」と今のコンディジョンに不安は全くない。

タイトルの懸かる大一番で勝利に繋がるプレーをする自信はあるのか。こちらの問いに、青木は「自信はあります」と断言する。これを実際にコートに立って証明するためにも、今日のレギュラーシーズン最終戦は青木にとって評価を高められる貴重なチャンスだ。「プレーオフに向けて、明日の試合もアピールの場の一つ。そこはしっかり緊張感、責任感を持ち、自分が与えられた役割をこなせるところを見せる。その結果、チャンピオンシップでもしっかりプレータイムをもらえるようになりたいと思います」

今日はSR渋谷との第2戦。彼がアピールに成功すれば、それは川崎の選手層がより強化され、勝利により近くことを意味している。