序盤の2桁ビハインドを覆しての逆転勝利
4月25日、川崎ブレイブサンダースが宇都宮ブレックスと対戦。得意のビッグラインナップで流れを引き寄せると、そのままゴール下のアタックで主導権を握り続け75-67と勝利。東地区王者を相手に敵地で価値ある同一カード連勝を達成した。
第1クォーター、1点差で惜敗した前日のリベンジに燃える宇都宮が活発なボールムーブからのインサイドアタックで得点を奪うと、鵤誠司のドライブからのパスアウトでLJ・ピークが3ポイントシュートを成功させ、12-2と見事な先制パンチを川崎に食らわせた。
しかし、川崎はここでタイムアウトを取ると、佐藤賢次ヘッドコーチが「大きかったのはあそこで、ミドルシュートを決め切ってくれて落ち着くことができました」と振り返るニック・ファージカスの得点で宇都宮の流れを切る。そして、直後にパブロ・アギラールを入れ、ビッグラインナップにすると3番に入ったアギラールのサイズのアドバンテージを生かした攻めで盛り返す。終了間際には辻直人が3ポイントシュートを沈め、17-17の同点で第1クォーターを終えた。
第2クォーター、引き続き川崎の流れは続き、辻が再び3ポイントシュートを沈めると、セカンドチャンスからジョーダン・ヒースがダンクを決めて突き放す。宇都宮も比江島慎が積極的なアタックを見せるが、川崎の堅いディフェンスを崩せない。このクォーターを10失点に抑えた川崎が35-27で前半を折り返した。
後半も川崎はアギラールで生み出したアドバンテージを起点にインサイド、アウトサイドをバランス良く攻めリードを広げる。宇都宮も遠藤祐亮の3ポイントシュートで粘ると、ジョシュ・スコットの得点で6点差に迫る。だが、川崎はここから連続でターンオーバーを奪い、そこからアギラールの速攻、ジョーダン・ヒースが3ポイントシュートを決め、59-47と突き放した。
第4クォーター、なんとかして追いつきたい宇都宮は、「まさかのギブス選手が3番をやってくるパワーゲームに対して、リバウンドを取られることもありました」と佐藤ヘッドコーチが語ったように、途中からビッグラインナップで対抗。その成果もあり、このクォーターだけで9つのオフェンスリバウンドを記録し、ゴール下での得点から残り4分半には6点差に迫った。だが、川崎は要所でディフェンスを踏ん張り、これ以上の追撃を許さずに東地区王者に連勝した。
佐藤ヘッドコーチ「次も同じようになるとは全く思えない」
川崎の佐藤ヘッドコーチは、勝因としてビッグラインナップに加え、その後で流れを切らさなかったことが大きかったと語る。
「ビッグラインナップを第1クォーター途中から使い、第2クォーター途中まで引っ張りましたが、良かったのはやめたあとでも勢いを繋げられたこと。ディフェンスの強度、オフェンスでアタックするマインドを継続できたことです。どうしてもビッグラインナップに頼った後はソフトになりがちですが、それがないのが良かったと思います」
相手はすでに東地区優勝を決めているとはいえ、敵地で宇都宮に連勝できたことはもちろん川崎にとって大きな自信になる。だが、一方で指揮官は冷静に状況を見ている。
「今回の連勝はスケジュール的なものも影響している。ブレックスさんは8連戦の8試合目、我々は水曜ゲームがなく1週間準備ができる中でやった2試合、この差もありました。もしチャンピオンシップで当たったら、全然違う展開になると思います。自信になりますが、まだまだウチに課題もあって、次も同じようになるとは全く思えない。もっと成長してまたやりたいと思います」
一方、宇都宮の安齋竜三ヘッドコーチは、川崎のビッグラインナップに対する守備のローテーションに加え、「ディフェンスはそんなに悪くなかったですが、第3クォーターにターンオーバーから9点くらい取られました。そこは成長していかなければいけない」と、反省点を挙げる。
また、佐藤ヘッドコーチとは逆にコンディション面で自分たちの方が有利だったと続ける。「疲労度は川崎さんの方があったと思います。ずっとビッグラインナップの選手は30分近く出ていて、プレータイムも長い選手は多いです。うちの選手は連勝中、20分くらいでプレータイムをシェアできていて疲れはなかった。ただ、逆に長く出た時の体力を少し心配していた部分があり、そこは出てしまったかと思います」
リーグ屈指の強豪同士の戦いは、2試合とも白熱の展開で大きな盛り上がりを見せた。そして、図らずも両指揮官ともにチャンピオンシップで対戦したいと会見で語ったが、その実現を期待する人は多いと感じる中身の濃い試合だった。