31得点14リバウンド「緊張感の中でしっかりプレーしていきたい」
川崎ブレイブサンダースは秋田ノーザンハピネッツの連戦の初戦を82−55で勝利した。チームをこの大勝へと導いたのはニック・ファジーカスだ。外国籍選手が2人でサイズ不足を抱える秋田に対して、ゴール下での得点はもちろんのこと、相手がゾーンディフェンスを敷いた時にはペリメーター付近でボールをもらい日本人ガードとのミスマッチを突き、彼の十八番であるフリースローライン付近からのフローターを高確率で沈めた。その結果、29分22秒の出場で31得点14リバウンド6アシストと、攻守に抜群の存在感を見せた。
これでチームは7連勝。ファジーカスは「連勝を伸ばすことが大事だと考えて、この試合に臨みました。秋田は前半、後半ともに出だしからエナジーを出してきましたが、それにしっかり対抗できたのが勝因だったと思います」と振り返る。
自身の活躍については「簡単なシュートをいくつか外してしまいましたが、パフォーマンス自体は良かったと思いますし、全体的にチームの流れが良かったので、そういった良い流れを続けていければと思います」
この一戦、得点差が示すように危なげない戦いぶりの川崎だったが、その中でも数少ない嫌な時間帯は後半の出だしから使ったビッグラインアップでミスが続き、相手に走られてしまった場面だった。他のチームにはない大きな強みとなるこのラインアップだが、現状では調子の波があるのは否めない。ただ、ファジーカスは今日の出来についてミスがあったことを認めつつ「そこまで機能しなかったわけではない」と自信を崩さない。
「ターンオーバーも何本かありましたが、ビッグラインアップをしているだけで相手のスタミナを削っています。チャンピオンになるための道のりで自分たちの一番の武器になると思っています」
「持てるものすべてを注いでいます」
レギュラーシーズンもいよいよ佳境も迎え、選手たちも疲れが溜まってくるのは間違いない。その中でもファジーカスは1試合平均30分の出場を続け、高値安定のプレーを継続している。35歳の年齢を感じさせないタフネスぶりだが、それも地道な積み重ねがあってのものだ。「努力は報われると思っていて、積み重ねによる日々の進化を信じ続けています。シーズン終盤になって疲れているからとワークアウトの時間を短くすることはせず、しっかりとやり続けています。自分に残された時間は少ないと思っているので、持てるものすべてを注いでいます」
今日の勝利で、川崎は消化試合に大きな違いはあるものの東地区2位である千葉ジェッツとのゲーム差を1とした。その千葉とは、1週間後にホームでの直接対決2試合が控えており、ここで連勝してひっくり返すためにも今日の秋田戦に勝つ必要がある。
「自分たちが目指しているのはまず千葉に追いつくこと。そのためにチーム全体でモチベーションを高く持つ必要がある。ここから先、全部勝たなければ上にいけない状況が続いていくが、その緊張感の中でしっかりプレーしていきたい」
こうファジーカスが語るように、川崎は心身ともにタフな戦いが続いていく。だが、ここを良い形で締めくくることができれば、チャンピオンシップに理想的な形で臨むことができる。ファジーカスが好調を維持することは、その大前提となる。