デビン・ブッカー

クリス・ポール「こういった1秒に重みのある試合を経験することが大事」

『ESPN』は先日、『NBAの25歳以下の選手ランキング』を発表した。サンズのファンは、怒るよりも呆然としたことだろう。1位のルカ・ドンチッチは理解できるが、2位はザイオン・ウイリアムソン、3位がラメロ・ボール、4位がドノバン・ミッチェル、5位がジェイソン・テイタムで、6位ディアロン・フォックス、7位ベン・シモンズ。デビン・ブッカーの名前はようやく8位になって出てきた。こういったランキングに異論反論は付き物だが、ブッカーより上位の選手で、サンズより勝率の高いチームでプレーしているのはミッチェルしかいない。

そのミッチェルを擁するジャズとの対決は、西地区の首位と2位の対決でもあった。得点ではブッカーの36に対してミッチェルが41と上回ったし、第4クォーターの最後にオーバータイムへと持ち込む同点3ポイントシュートなど、インパクトもミッチェルが上だったかもしれない。

それでも、117-113で混戦を制したのはサンズだった。

ブッカーは「本当にすごい試合だった。両チームともすごく激しくプレーしたし、よく攻めてよく守った」と語る。「そんな試合でプレーすることができて良かった。プレーオフの雰囲気があって楽しかったよ。今日のようなペースの速さも当たりの激しさも、練習では体験できないし、普通の試合でも感じることはできない。こういう試合をやることは僕らにとっては素晴らしい経験になる」

43分間のプレーで29得点9アシスト、見事なプレーメーカーぶりを見せたクリス・ポールも、ブッカーと同じく「ウチにとっては、プレーオフを前に、こういった1秒に重みのある試合を経験することが大事だ」と語る。

サンズはこれで7連勝。それまではプレーオフ圏内を死守することがミッションだったが、すでにそれはクリアした。これからはプレーオフで勝ち上がるためにチーム力を高めていく。このジャズ戦と、バック・トゥ・バックで迎える明日のクリッパーズ戦が、プレーオフに向けた予行演習となり、そこから先はプレーオフへ向けた準備が始まる。

スティーブ・ナッシュの時代にはポストシーズンにケガが相次いだ。今回は慎重に準備を進める必要がある。チームとしては10シーズン連続でプレーオフ進出を逃しており、経験不足は否めないが、百戦錬磨のリーダーであるクリス・ポールの存在はそれをカバーしてくれるはず。それと同時に、これまで負荷の高かったポールにレギュラーシーズン終盤戦で適時休養を与える必要もある。

そしてブッカーは、プレーオフに向けてもう一つステップアップする必要がある。クラッチタイムに勝敗を決するプレーを決めること、そこで攻める姿勢は出してもターンオーバーは避けること。クリス・ポールはNBA最高の司令塔でありリーダーだが、エースの役割を担うべきはブッカーだ。

『NBAの25歳以下の選手ランキング』をブッカーがどれだけ気にしているかは分からない。それでも、これを覆してプレーヤーとしての自身の価値を高めるには、プレーオフで圧倒的なパフォーマンスを見せるしかない。