ビンス・カーター

写真=Getty Images

リーグ最年長の41歳は気力も充実

先月ホークスとベテラン最低保証額での単年契約に合意したビンス・カーターは、来シーズンでNBAキャリア21年目に突入する。まだ優勝を成し遂げていないカーターならば、次の契約先にウォリアーズやロケッツら優勝候補と呼ばれるチームを選択することもできたはずだ。しかし、彼は若い選手が中心を担い、おそらく来シーズンはプレーオフ争いにも加われない再建途中のホークスを選んだ。

カーターは、ホークス移籍について『Atlanta Journal-Constitution』に「自分にとって正しい判断だったと思っている」と語った。

「他のチームと契約していた可能性だってあった。自分は、まだプレーしたいんだ。出場時間が何分になろうとやりたい。それに教えるのも好きでね。ホークスでは教えることもやる。何の問題もないし、それが自分さ」

またカーターは、優勝候補に移籍するベテランについて「自分は、そういうやり方をしなかった時代の選手だからね。今のやり方には何の問題もない。自分は、そういう選択をしないだけ。もし、選手として完全に終わったなと思えば、優勝を目指すためだけに移籍するかもしれない。でも、そんなことを考える前に、たぶん引退するかな」とコメントしている。

カーターは、ホークスへの移籍を決めた最大の理由に「出場機会」を挙げた。「単純だけれど、出場機会だね。まだゲームを楽しめているし、まだやれている。とにかくバスケットボールが大好きで、まだ離れられない。もちろん、その時がきたら、そういうことさ。でも、まだ情熱を持ってやれているんだ。今もバスケットボールが活力源。チャンスが目の前に現れたのだから、それを生かしたかった。まだやれることは多い」

カーターがホークスを選んだ理由は、出場機会、若手への指導の他に、もう一つあった。シーズンオフに解説者としての活動も始めるようになったカーターは、引退後テレビの世界への転身を考えている。アトランタには『TNT』と『NBA TV』のスタジオがあり、ホークス共同オーナーの一人である元NBA選手のグラント・ヒルも解説者で、カーターは助言を求めることもあるという。

若い選手が多いホークスのロッカールームをまとめるには、カーターのようなベテランが必要だ。キングスでの昨シーズンに58試合に出場し、平均5.4得点、2.6リバウンド、1.2アシストを記録したカーターは、出場機会さえあれば、スタッツに残らない形であってもチームの勝利に貢献できる。気力の充実具合はコメントからも伝わってくる。コンディションさえ問題なければ、あと数年はコートに立ち続けられるかもしれない。