シアカムが復活の36得点、指揮官は渡邊に「素晴らしかった」
ステフィン・カリーとドレイモンド・グリーンが揃って欠場したウォリアーズは、復調したラプターズにまるで歯が立たなかった。第1クォーターこそアンドリュー・ウィギンズを中心に競ることができたが、ラプターズが時間の経過とともにリズムに乗ったのに対し、ウォリアーズはローテーションが噛み合わずに失速。第2クォーターを16-35、第3クォーターには14-46と大差を付けられ、77-130という大敗を喫した。
ラプターズはエースのパスカル・シアカムが序盤のオフェンスを牽引。ウォリアーズの敷くゾーンディフェンスをギャリー・トレントJr.を筆頭に3ポイントシュート攻勢で打ち破り、リードを広げていく。右足を痛めているカイル・ラウリーが3試合連続で欠場したことに加え、フレッド・バンブリートが股関節に痛みを訴えて第3クォーター途中からプレーしなかったが、それでもラプターズの勢いは止まらない。第3クォーター残り4分22秒、ゴール下にボールを運んだはいいがサポートが得られないジェームズ・ワイズマンにタフショットを強いて、リバウンドから速攻へと転じると、シアカムからのキックアウトであっさりとフリーになったOG・アヌノビーが3ポイントシュートを決めて、99-49と大差を付けた。
ラプターズは健康安全プロトコルにより2試合が延期となり、ここで練習も制限されたことで調子を崩して、3月は1勝13敗と破滅的な成績に。シアカムと指揮官ニック・ナースの衝突が報じられるなど、あらゆる意味でチームの状況は悪かった。だが、この試合ではラプターズらしい組織ディフェンスが久しぶりに見られ、そこからスムーズな攻めで効率良くチャンスを作り出した。シアカムはシーズンハイの36得点、さらに7リバウンド5アシストとエースの働きを見せ、ブレイザーズから加入したばかりのトレントJr.は24得点、彼がコートに立っている間の得失点差は+54と攻守に素晴らしい活躍をしている。
シアカムは「負けている時は誰だって気分が悪いものだけど、僕らは結束して立ち向かうことができた。みんなで一緒にハードワークしていくことが大事であって、今日はそれができたと思う。それを続けていきたい」と語る。
ラプターズにとっては低迷脱出へ大きなきっかけとなりそうな大勝で、さらにこの1カ月間で出場機会をほとんど得られなくなっていた渡邊雄太にとっても、評価を取り戻す一戦になったかもしれない。渡邊は早々に勝敗が決まった第3クォーター残り1分半にシアカムと変わって投入され、そのまま試合終了まで13分間プレー。積極的にボールに絡み、不可解なオフェンスファウルをコールされて得点が取り消されてもペースを落とすことなく、激しいディフェンスから走ることで流れをつかんで6得点8リバウンド1アシストを記録した。
ヘッドコーチのニックナースは「全員が攻守両面で積極的にプレーに関与し、ミスがあっても他の誰かがカバーしようという姿勢が見られた」と語るとともに、渡邊についても「今夜の彼は素晴らしいプレーを見せてくれた」と称賛している。