リオ五輪のエースシューター、現役最後をWリーグ優勝で締める
トヨタ自動車アンテロープスの栗原三佳が現役引退を発表した。
栗原は1989年生まれの31歳。大阪薫英女学院から大阪人間科学大へ進み、2012年にトヨタ自動車へ入社。ルーキーイヤーからWリーグの全試合に先発出場し、ファイナルへと進出。またオールジャパン(皇后杯)ではファイナルで3ポイントシュート7本成功を含む23得点を記録し、JX-ENEOSを倒してのチームの初優勝に貢献している。その翌年には日本代表入りを果たした。
一度乗ったら止まらない、クイックリリースから放つ3ポイントシュートが栗原の最大の武器。国際大会へのアジャストに苦労しながらも結果を残し、主力として臨んだ2016年のリオ五輪で大活躍を見せる。高さがない中でトランジションに重点を置いた日本代表において、シューターとしてノリにノッた栗原は、相手より速く走って迷わず放つ3ポイントシュートを次々と決めていく。3ポイントシュート成功率51.1%は大会全体で3位の数字。平均12.7点を挙げて、日本代表を20年ぶりのベスト8、決勝トーナメント進出へと導いた。
しかし、リオ五輪では初戦で右手親指の付け根を骨折。このケガが癒えたと思ったら今度は左手の中指を骨折と、ここから相次いでケガに見舞われる苦しい時期が続いた。
結果的に現役ラストとなった2020-21シーズン、栗原はスタメン出場2試合でプレータイムも伸びなかった。それでも若手の多いチームを最年長としてまとめている。2019年に日本代表復帰を果たした時には、「良いことも悪いことも経験させてもらっているので、良い状況でのメンタルも分かるし、調子が上がらなくてつらい時のメンタルも分かります。どちらの場合でも、話を聞いてあげられるというのは自信になります」と、チームのまとめ役として頼もしい発言もあった。
ENEOSサンフラワーズと戦ったWリーグファイナルの第2戦が、栗原にとっては現役ラストゲームとなった。栗原が投入されたのは第4クォーター残り53秒、69-55と勝利がほぼ決まったところ。1試合目は栗原を入れる余裕のない接戦だったが、この試合でチームメートたちは栗原を最後にコートに立たせる展開を作り出した。
ルーキーイヤーに皇后杯の優勝を、現役ラストシーズンにWリーグ優勝を。それぞれトヨタ自動車に初優勝をもたらした栗原は、引退発表のリリースでの「この9年間でオールジャパン初優勝とリーグ初優勝ができたので、本当に思い残すことはありません。現役選手とOGの方々の悲願達成ができてうれしく思います」との言葉とともに、9シーズンの現役生活を終えた。
またトヨタ自動車は2019年に日立ハイテクから加入し、3シーズンプレーした西澤瑠乃の現役引退も発表している。