川崎ブレイブサンダース

ともにディフェンスの強度が上回り重い展開に

川崎ブレイブサンダースvs滋賀レイクスターズの第2戦は、最終クォーターの残り4分を切っても2点差と終始拮抗したが、77-71で川崎が勝利した。

「タフなディフェンスをされている中で良いシュートチャンスは作れていましたが、手からボールが離れるギリギリまで滋賀さんが手を出してきたり、フィジカルにコンタクトしてきたので、なかなかシュートが入らない重い展開になりました」と川崎の佐藤賢次ヘッドコーチが試合後に振り返ったように、互いにディフェンスの強度が上回り、ともにペースを握ることができず一進一退の戦いとなった。

川崎はゲーム序盤から辻直人がピック&ロールを使って積極的にアタックをするが、滋賀のハードなディフェンスを前に良いリズムでシュートまで持って行くことができない。また、開始3分半でニック・ファジーカス、ジョーダン・ヒース、パブロ・アギラールによるビッグラインナップを敷くが、高さと機動力があるジョーダン・ハミルトンとアンガス・ブラント、そして攻守に渡って泥臭いプレーを続ける滋賀の日本人選手を前に、アドバンテージを生かすことができない。

川崎のビッグラインナップについては、滋賀のショーン・デニスヘッドコーチも「この2日間を通して、そこまでやられた感じはない」と語ったように、滋賀の対策が効いていた。その滋賀はエースのハミルトンがゲームハイの28得点と11リバウンド6アシストの活躍でチームを牽引。川崎に連続得点を許しても、狩俣昌也や晴山ケビンが3ポイントシュートを沈めて食らいつき、前田怜緒の勢いのあるペイントアタック、今川友哲もディフェンスで川崎の外国籍選手に対して身体を張ってハッスルするなどしてチームに勢いを与えた。

第1戦では第3クォーターを17-7と圧倒して主導権を握った川崎だが、この試合では速攻が出てもすぐにタイムアウトを取る滋賀に流れを切られ、49-51と2点ビハインドで最終クォーターを迎えた。

そんな苦しい展開でも、佐藤ヘッドコーチは「流れが絶対に来るから、我慢して今のプレーを続けていこう、と言い続けました」と語ったように、川崎のプレーは決して悪くなく、パブロ・アギラールやニック・ファジーカスがリバウンド争いで粘り、セカンドチャンス、サードチャンスへと繋げるなどして、シュートが入らない時間帯も耐え続けた。

そして、最終クォーターの立ち上がりで、藤井祐眞が3ポイントシュートでバスケット・カウントとなる4点プレーを決めると、続くポゼッションでアギラールがスティールからのワンマン速攻を決め、開始30秒で6-0のランを決めた。しかし、ここでも滋賀のタイムアウトにより流れを止められ、61-60でオフィシャルタイムアウトを迎えた。

川崎ブレイブサンダース

佐藤賢次ヘッドコーチ「外国籍選手が『我慢』という単語を覚え始めた」

両チームにとって我慢の戦いが続いたが、コンタクトプレーが多かったこともあり、ともにレフェリーのジャッジに対してフラストレーションが溜まっていた。そして、62-60で迎えた残り4分15秒。滋賀はブラントのオフェンスファウルがコールされると、それに反応したベンチもベンチテクニカルファウルを取られた。川崎はここで得たフリースローとポゼッションを機に、リードを広げた。ラスト30秒を切ってハミルトンに連続得点を許したが、最後までディフェンスのインテンシティを保ち、77-71で接戦を制した。

佐藤ヘッドコーチは、「なかなか我慢できずに勝ちきれない試合がシーズン前半は多かったですが、最後に勝ちきれるようになってチーム力がついてきたと思いましたし、もっともっと強くなれると実感した試合でもありました」と手応えを語る。

また、この試合では両チームともにヒートアップする場面も目立った。それでも、川崎はそのフラストレーションを次のプレーに引きずることなく、気持ちを切り替えて戦った。佐藤ヘッドコーチは言う。「正直、フラストレーションは溜まっていましたけど、それをチームで支え合う軸ができてきたのかなと。誰かがそうなっても、すぐに他の誰かが声を掛けて次のプレーは何をすると指示を出して、一つに共有していく作業がみんなでできていています。人間なので日本人も含めて熱くなることはありますけど、ずっと『我慢、我慢』とみんなが言うので、外国籍選手が『我慢』という単語を覚え始めたり(笑)。それぐらいしつこく、『我慢』と言い続けています」

一方、滋賀にとっても収穫が多い試合となった。デニスヘッドコーチは「スコアでは勝てませんでしたが、チームはしっかり戦ってくれましたし、選手を誇りに思います。この2試合での収穫を次に繋げて、1試合でも多く勝てるようにしていきたいです」と言う。

「一番はディフェンスの部分での成長だと思います。川崎さんのようなサイズでのアドバンテージがあるチームに対しても、しっかりと戦うことができました。相手に少しでもシュートを難しく打たせて、平均のパーセンテージよりも試合を通して低くできたことは良かったです。チームの一番の課題はディフェンスの部分でしたが、2試合を通して大きな成長が見えました」