八村塁

攻守に欠かせない存在となった八村だが、終盤の失速は課題

ウィザーズは東カンファレンスで首位争いを演じるネッツと対戦。残り1分を切って1ポゼッション差と最後まで食らい付く粘りを見せたが、クラッチタイムの好守の精度でネッツを超えられずに106-113で敗れた。

ネッツはケビン・デュラントが欠場する間も快調に勝ちを積み重ねている。この試合でもジェームズ・ハーデンを中心に良い攻めを見せたが、それ以上に目立ったのはディフェンスだった。ブラッドリー・ビールとラッセル・ウェストブルック、NBAでも屈指の得点力を持つ2人に対してチームで連携してチャンスを与えない。

これに対してウィザーズは、ウェストブルックが自分に注意を引き付けてパスを出すことで打開を図る。八村は開始早々にディフェンスの裏を突く動きでウェストブルックのパスを呼び込むダンクで初得点を記録すると、ウェストブルックのキックアウトを受けて3ポイントシュートも沈める。またロビン・ロペスが相手ディフェンスとの競り合いに勝ってオフェンスリバウンドを確保した瞬間に空いたスペースに飛び込み、再びダンクを決める。八村は第1クォーターで9得点とウィザーズのスタートダッシュの原動力となった。

しかし、第2クォーター早々に逆転を許すと、その後は常にネッツを追う展開に。ビールは徹底したマークに苦しみ、ファウルトラブルもあってリズムをつかめない。ウェストブルックは試合を通じて13アシストを記録するも、ターンオーバーも8と安定せず。ビールに至っては5アシストに対してターンオーバーは6とミスが上回った。ネッツはカイリー・アービングとハーデンの2人で14アシスト、ターンオーバーは4つに抑え、試合の主導権を握った。

八村と同じく、ゴール下で上手くパスを呼び込んだアレックス・レンが20得点を記録。八村も第3クォーターには再びアグレッシブな動きで得点を重ねた。第4クォーター終盤、ウェストブルックのドライブに合わせて相手守備の裏を取った八村が窮屈な体勢から見事なリバースレイアップを決め、続いてウェストブルックがスピードに乗ったドライブでレイアップまで持っていく連続得点で、残り1分を切って106-108と食らい付いた。

だが、ここからカイリー・アービングがニコラス・クラクストンのバスケット・カウントをアシストして、粘るウィザーズを突き放して勝利を手繰り寄せる。アービングはこの日、決してシュートタッチは良くなかったが、大事な試合終盤でクラッチプレーヤーの本領を発揮した。

八村は両チームで最も長い40分間のプレータイムを得て、フィールドゴール11本中9本成功の20得点、リバウンドも10に乗せてダブル・ダブルを記録した。オフェンス偏重のチームにおいて八村のディフェンス能力は欠かせないものになっており、なおかつオフェンス面でも効率の良い働きができている。

しかし、オフェンス面では終盤に消えてしまう課題がこの試合でも出た。第4クォーターの得点は終盤に決めた貴重なものではあっても2得点のみ。シュート自体も2本しか打てていない。ウェストブルックとビールが主体のオフェンスの中で、彼らのアタックに連動して良いスペースに飛び込む動きは相手の脅威となっている。第3クォーターまではコンスタントに見せていたその動きを第4クォーターまで継続させられるようになれば、八村の得点はもっと伸びるだろうし、チームの勝利にも直結するはずだ。