「プレッシャーはあったけど全員がハードにプレーした」
偏見かもしれないが、過去の歴史を鑑みるとNBAでプレーしたり、素晴らしい実績を持つ外国籍選手ほど日本ではセルフィッシュなプレーに走ると感じていた。その実績が高ければ高いほど、それは顕著に表れると思っていた。しかし、NBAのウォリアーズで優勝した経験を持つサンロッカーズ渋谷のジェームズ・マイケル・マカドゥにはそうした負の要素が感じられない。
3月17日の富山グラウジーズ戦。マカドゥは22分間の出場で12得点7リバウンド3スティールと攻守に活躍し、92-81での勝利に大きく貢献した。特筆すべきは1on1で無理に得点を狙いに行くのではなく、プットバックダンクなどチームプレーを重視した上での得点が多いことだ。
マカドゥは「順位的にも勝たなければいけない試合で、プレッシャーはあったけど全員がハードにプレーした。大きな勝利だった」と試合を振り返り、チームプレーを勝因に挙げた。
ここまで平均約16得点を挙げていた、富山の重量級センターのジョシュア・スミスを11得点に抑えたことも、この試合の勝因に挙げられる。スミスのマークを任されることも多かったマカドゥは「チームの努力が実った」と、ここでも自分の手柄にせずにチームメートを立てた。
「CJ(チャールズ・ジャクソン)か自分が対応したけど、体格と才能を持つ選手に対して1対1で守るのは難しいと分かっていた。一人で守らない作戦で、全員で遂行できた」
マカドゥが言うように、スミスに対してはヘルプマンが常に目を光らせていた。サイドラインからのスローインの場面では、ボールマンではなくスミスに寄るようにマカドゥが指示を出すシーンも見られた。結果的にスミスの出場時の得失点差は、過去2番目に悪い-24という数字になった。
「チームを勝たせることが自分にとって一番大事なこと」
身体能力の高いマカドゥは味方のシュートミスをそのまま押し込むプットバックダンクが大きな武器となっている。それはオフェンスリバウンドであり、セカンドチャンスポイントでもあるため、試合を左右するほどの影響を持つ。ガード陣がタフな状況になっても、フィニッシュまで持っていくのは、強力なリバウンダーがいるからこそだ。
伊佐勉ヘッドコーチも「特にCJとマックはスクリーンの後に果敢にダイブしてくれる。最悪、シュートが落ちても一番良いパスになるので逃げないようにとは伝えている」と明かした。
マカドゥも「僕が良いスクリーンをかけて彼らをオープンにさせる。彼らにはオープンになったら思い切りいけと言っているし、そこには信頼がある」と語った。また、「彼らが外したとしても、自分がボックスアウトされていない状況で、比較的小さな選手が相手なのでチャンスがある」と続ける。
マカドゥとマッチアップするビッグマンがドライブする選手に対してシュートチェックに行けば、自ずとマークにズレが生じる。富山の浜口炎ヘッドコーチも「ビッグマンがブロックショットに跳んだ後にそのミスショットを拾われるケースが出てきてしまって、なかなか対応できなかった」と、この試合の敗因の一つに挙げた。マカドゥはこの試合で4本のオフェンスリバウンドを奪取し、ここまで平均2.8オフェンスリバウンドを記録している。リーグ15位の数字だが、プレータイムが平均21.1分ということを考慮すればかなりの高水準であり、チームのストロングポイントになっていることが分かる。
決して自分本位なプレーではなく、チームルールに則ったプレーで結果を残すマカドゥ。「良いチームメートと戦えるのは楽しいこと。得点を求められれば得点を狙うし、リバウンドが要求された時はリバウンドに徹する。でもチームを勝たせることが自分にとって一番大事なこと」と言い切るマカドゥは、これからも献身的なプレーを続け、SR渋谷のチャンピオンシップ進出だけを見据えている。
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