出場機会がなくても、一生懸命に努力する選手
現役最強選手のレブロン・ジェームズを獲得したレイカーズには、遅かれ早かれ優勝争いが求められる。仮に2018-19シーズンから結果を残せなかったとしても、少なくとも王者ウォリアーズに全力で挑み、成長が期待できる姿を見たいというファンの願いに応えなければならない。
もちろん、優勝3回を誇るレブロンの最終目標は、名門復活に他ならない。勝者である彼が西カンファレンスの4位、5位程度で満足するわけがなく、狙うは全盛期にあるウォリアーズを打ち破ってのNBAファイナル進出、球団史上17回目の優勝だ。
この夏、レイカーズはレブロンをはじめ、実力者と次々に契約し、陣容を固めつつある。だが、昨シーズン途中キャバリアーズからレイカーズへ移籍し、再びキャブズに移籍することになった、レブロンと元チームメイトのチャニング・フライは、今オフの主役であるレイカーズには『15人目の戦士』が足りないと言う。
ポッドキャスト番組『Road Trippin』に出演したフライは、レイカーズについて「若くて、素晴らしい才能を持った選手が多い」と語った。そして、『15人目の戦士』の意味を説明した。
「彼らに足りないのは、出場機会がなくても、一生懸命に努力する選手。それが『15人目の戦士』で、絶対に必要な存在なんだ。A1レベルのチームであっても、実力が標準以下の選手で、スター選手たちより努力する選手が必要だ。しかも、その選手は周りから尊敬される選手でないといけない。そういう選手がいることで、出場機会を得ている選手にも自覚が生まれるんだ」
フライは具体名を挙げなかったものの、レブロンが優勝したヒート、キャバリアーズ時代を考えれば、その『15人目の戦士』はジェームズ・ジョーンズだったはずだ。レブロンと同じ2003年組のジョーンズ(全体49位でペイサーズから指名)は、2010-11シーズンから現役最終年の2016-17シーズンまで、レブロンと同じチームでプレーした。
2010年にヒートに移籍し、ドウェイン・ウェイド、クリス・ボッシュと共闘して以降、レブロンの周りは常にスター選手で固められている。それでも他者に負けない絶対的な『何か』を持っているわけではなかったジョーンズに、貴重なロスター枠が与えられていたのだ。
キャリアを通じてベンチからの起用が主だったジョーンズは、年間81試合に出場した10-11シーズン以降、年々出場試合数、出場時間が減少し始めた。彼が起用された大半のケースは、大差がついた試合、あるいは負けが確定した後の『ガベージタイム』のみだったが、ジョーンズは不平不満を一切口にせず、黙々と与えられた役割をこなし続けた。そして、いつ出番が来ても大丈夫なように、日々の準備を怠らなかった。レブロンは、そんな彼に敬意を払い続け、相棒として絶大な信頼を寄せた。
ヒートに移籍した2008-09シーズンにはすでにベテランの域に達していたジョーンズだが、その姿勢は引退するまで変わらなかった。そんな姿を見せられれば、若い選手はもちろん、彼と同じくらいの経験を持っている選手であっても、コートに立ってチームのためにプレーする意味、自分より努力している選手に代わってプレーする意義を考えさせられる。フライが言う『選手の自覚』とは、そういう意味だ。
現在のロスターを見ると、経験、実績だけで考えれば、ルオル・デンが『15人目の戦士』に近いかもしれないが、昨シーズン途中からシーズン終了までレイカーズでプレーしたフライから名前が出なかったということは、彼ではないのだろう。
現役を長く続けている選手にしか分からない『15人目の戦士』こそ、レイカーズが名門復活ミッションを成し遂げるために必要なラストピースかもしれない。
James Jones has the stroke working on #NBAonABC!#NBARapidReplay pic.twitter.com/bsGy4f3gJI
— NBA (@NBA) 2017年2月26日