主力にケガ人が続出する状況でデンソーを撃破、Wリーグファイナルへ
Wリーグのセミファイナル第2戦、ENEOSサンフラワーズはデンソーアイリスに69-67で勝利した。第1戦での1点差に続く劇的勝利で、リーグ12連覇まであと2勝へと前進している。
このセミファイナル、ENEOSは故障欠場の渡嘉敷来夢、梅沢カディシャ樹奈に加え、肩の故障から宮澤夕貴もプレータイムを制限せざるを得ない状態。これにより『リバウンドから走る』ENEOSバスケットの根幹であるリバウンドで劣勢を強いられたことが、2試合ともに最後までもつれる最大の要因となった。梅嵜英毅ヘッドコーチも「あらためて高さのアドバンテージを失ったと感じました」と振り返るように、今のENEOSはこれまでのようにゴール下を支配できなくなっている。
ただ、それでも負けないのが『女王』であり、その原動力となっているのが岡本彩也花だ。
第1戦で終了間際に逆転のフリースローを決めると、第2戦でも3ポイントシュート8本中5本成功を含むゲームハイの18得点に7リバウンド、3アシストと攻守に渡って大暴れのキャプテンは、「今、チーム11年目ですが、セミファイナルでここまで競ったのは初めてと思うくらいです。率直にホッとしています」と安堵の表情を見せる。
そして、反省点をこう語る。「ファイナルへの第一歩を踏み出しましたが、課題が残りました。昨日は髙田(真希)さん、今日は本川(紗奈生)と一人の選手にやられてしまいましたが、試合の中で自分たちでアジャストできないと後半苦しくなってきて、点差を開けない。そこが甘かったです」
また指揮官と同じく岡本も、高さで優位に立てなくなったことを認める。だからこそ平面での速さ、運動量がより重要と続ける。「ケガ人が多い中で残ったメンバーは高さがありません。今までも走るバスケットボールをやってきましたが、より走らないといけない」
「ケガで出られない人の分まで頑張らないといけない」
決勝の相手はトヨタ自動車アンテロープスで「トヨタさんは皇后杯で私たちに敗れているので、すごい気持ちを入れてくると思います」と語るように、皇后杯へのリベンジに相手は燃えている。だからこそ、岡本は強調する。
「受け身にならず、負けていて我慢する時間帯でもディフェンス、オフェンスと攻めるバスケットをする。40分間、ENEOSのバスケットをできるように走りたい。そして最後は気持ちです」
宮澤が万全ではない今回のファイナルにおいて、主力として数々のタイトル獲得を経験し、コートに立ち続けることができるのは岡本のみだ。自身にかかる責任の重さを彼女は十分に理解しているからこそ、大一番へ向けの決意をこう語る。
「チームを引っ張って、渡嘉敷などケガで出られない人の分まで頑張らないといけない。高さがないことを言い訳にせず、ファイナルに向けてすべての試合で40分間プレーできるようにしっかり体力をつけて臨みたいと思います」
リバウンドで苦戦しても、ENEOSらしい走るバスケットボールを最後までしっかり貫くことができれば自然と結果はついてくる。そのためには岡本がまず走ってチームを引っ張ることが不可欠だ。