プレーの強度、ボールへの執着心で上回り79-56の完勝
Wリーグは今日からプレーオフのセミファイナル。第1試合のトヨタ自動車vs富士通は、序盤から足が動いてボールへの執着心を前面に押し出したトヨタ自動車の完勝となった。
立ち上がりこそ互角の攻防となったが、町田瑠唯とオコエ桃仁花によるピック&ロールの展開に対してトヨタ自動車はすぐにディフェンスを修正する。トヨタ自動車は序盤こそ攻めあぐねたが、馬瓜エブリンと長岡萌映子がオフェンスリバウンドを次々と奪っては得点へと繋いでリードを作り出す。ゾーンディフェンスで立て直しを図る富士通に対して、ベンチから投入された脇梨奈乃がすぐさま思い切りの良いシュートを連続で決めたことで、トヨタ自動車は第1クォーターのうちに2桁のリードを奪った。
第2クォーターもトヨタ自動車の勢いは止まらない。高さを嫌がって中に切り込めない富士通にプレッシャーを掛けて得点を許さない一方で、自分たちは内と外へとボールを出し入れしつつ、打てる場面では躊躇せずにシュートを打って決めていく。第2クォーター開始2分で10-0のラン。富士通のタイムアウトが遅れる間に点差を20点へと広げた。
その後は富士通がディフェンスを立て直すも、リバウンドやルーズボールへの意識では常にトヨタ自動車が上回った。町田と篠崎澪が個人技で切り崩してタフショットを決めることはあっても、トヨタ自動車を慌てさせるような連続得点には至らない。42-21で迎えた後半も、町田を中心にトランジションが出始め、田中真美子の3ポイントシュートなど良いプレーはあるが、やはり単発だった。
山本麻衣「スタートの選手が良い流れを作ってくれた」
さらにはインサイドで身体を張るオコエが後半開始早々に個人3つ目、第3クォーター終盤には4つ目とファウルトラブルに苦しんだことも、富士通の巻き返しを難しくさせた。オコエは試合後、「リバウンドが課題。トヨタはエブリンや萌映子さん、(馬瓜)ステファニー、河村(美幸)さんがしっかり飛び込んできて、そこを抑えないと」と明日の第2戦へ向けた課題を語っている。
町田と篠崎が出ずっぱりの富士通に対し、タイムシェアを徹底するトヨタ自動車はプレーの強度を落とさずに付け入る隙を与えない。最終スコア79-56でトヨタ自動車が先勝。得意のディープスリーで富士通に傾く流れを断ち切る働きを見せた山本麻衣は、3本の3ポイントシュート成功を含む12得点を記録。「スタートの選手が良い流れを作ってくれたので、自分は思い切ってプレーするだけでした」と語ったが、山本に限らず先発の選手も含めて全員がその気持ちでプレーしたことが結果に結び付いた。
明日の第2戦で勝利すればファイナル進出が決まるが、大勝してもなお指揮官ルーカス・モンデーロは「今日勝てて幸せだが、明日はもう一度リセットして頑張りたい」と気を引き締めた。