八村塁

アデトクンボとのマッチアップでも一歩も引かず

ウィザーズは前日のセブンティシクサーズ戦に続いてバックスと対戦。2日連続となった試合で、左膝に痛みがあるブラッドリー・ビールが大事を取って欠場した。平均32.1得点を記録するエース不在の状況で奮起したのは八村塁だった。

八村がマッチアップするのは、先日のNBAオールスターでMVPに輝いたヤニス・アデトクンボだった。結果的にフィールドゴール19本中12本成功、33点を奪われるのだが、点を取り合う展開の中でフィジカルなディフェンスで自由を与えず、リバウンドでもハッスルすることでインサイドを支える。さらにビール不在のオフェンスでも普段以上の積極性を見せた。NBA最優秀守備選手のアデトクンボにマークされながらもシュートアテンプトは今シーズン最多の18。第2クォーター後半にアデトクンボがベンチに下がっていた間には、ラッセル・ウェストブルックのキックアウトから3ポイントシュートを決め、ドライブからレイアップへと持ち込むなど得点を重ねて、一時は2桁のリードを奪うなどウィザーズの時間帯を作り出した。

第3クォーターが終わった時点で八村は29分出場、フィールドゴール14本中11本成功、そのうち3ポイントシュートは3本すべてを成功させて29得点。フルメンバーが揃うバックス相手にリードチェンジを繰り返す善戦の立役者となり、ベンチで一呼吸入れる際にはビールがタオルであおいで労をねぎらう様子も見られた。

しかし、勝負の第4クォーターは残り9分からの出場で4本のシュートを放つも決められず、得点なし。ビールだけでなくダービス・ベルターンスも欠場でローテーションが厳しく、八村だけでなく他のメンバーも体力的に厳しかった。そんなチームを怒涛のパフォーマンスで牽引したのがウェストブルックで、最終クォーターだけで16得点を奪う。八村はアデトクンボのアタックを止めて、アデトクンボにブルック・ロペスも加わるリバウンド争いで競り勝つなどハッスルしたが、勝負どころで失速したのは否めない。

あきらめないウィザーズは、残り1分からデニ・アブディヤとウェストブルックの3ポイントシュート連続成功で同点に追い付くが、反撃もここまで。最終盤はクリス・ミドルトンがドライブで仕掛けてフリースローを得たのに対し、ウェストブルックの強引な仕掛けはファウルを取ってもらえず。4点差の残り9秒で放った八村の3ポイントシュートも外れ、最後はファウルゲームも乗り切ったバックスが125-119で勝利している。

ウィザーズにとって、残り41秒で同点に追い付いたまでは良かったが、その後に攻守とも工夫なくバックスに競り負けたベンチワークは大きな反省点。ただ、ビールもベルターンスも不在の中で、バックスを相手にここまで戦えたのは大きな収穫だ。ウェストブルックはラスト18回のポゼッションのうち15回を自分で攻めるワンマンぶりだったが、チーム全体が限界を迎えていた中で彼だけが限界を突き抜け、42得点10リバウンド12アシストのパフォーマンスで最後まで接戦を演出したのは確かだ。

八村は終盤の勝負どころで結果を出すことが課題。それでもいつも見せているディフェンスの安定感に加え、このところ1桁で終わることが多かった得点が29まで伸びたのは収穫。ビールがいれば八村のアテンプトは下がるが、ビールとウェストブルックに負担の大きい状況を変えられるキーマンであることを示した。敗れはしたが、良い要素も少なくなかった。これをどうチームのパフォーマンスに変えていくかが、後半戦のウィザーズのカギとなる。