ジョエル・エンビード

昨シーズンの悔しさを糧に、NBA最強のセンターへと成長

セブンティシクサーズは現地3月12日のウィザーズ戦に127-101と快勝したが、試合後のチームの雰囲気は陰鬱だった。ジョエル・エンビードが豪快なダンクを叩き込んだ際、空中で相手選手と接触してバランスを崩し、着地でケガをしたからだ。左膝に全体重が圧し掛かった状態となり、そのままフロアに倒れ込んだエンビードは苦悶の表情を浮かべた。シクサーズはエースを失ってもなおウィザーズを一蹴して勝利を収めたのだが、エンビードのケガには重傷の可能性があり、誰もがそれを心配していた。

ヘッドコーチのドック・リバースは「明日の検査で情報が出るまで、推測で何かを話したくはない」とコメントを拒んだ。その代わりに「ケガのことが気になって試合に集中できないようではダメだ。数分は動揺があったが、それで立て直すことができた」と、残った選手たちがエンビードの分まで活躍し、勝てる試合をアクシデントで落とすことがなかったことを称えた。

ベン・シモンズが欠場しており、さらにエンビードを失う事態でもリーダーシップを発揮したトバイアス・ハリスは「かなりの負荷が膝に掛かったように見えた」とケガのシーンを振り返るとともに、「ジョエルが無事であることを祈るばかりだ。彼がチームにとってどれだけ重要な存在かは言うまでもないし、今シーズンの彼がどれだけコンディションに気を配っていたのかを僕らは見てきたからね」と語る。

彼らの祈りは通じた。リバースの言う『明日』を待たず、フィラデルフィアに戻ってすぐ行われた検査の結果は左膝の骨挫傷で、2週間後に再検査をして復帰時期が決められる。前十字靭帯や半月板の損傷といった、選手としてのパフォーマンスに影響を及ぼし、復帰に1年前後を擁する最悪の事態は避けられた。

昨シーズンのプレーオフは1回戦でセルティックスにスウィープ負け。ケガ人続出の状況で孤軍奮闘したエンビードは「ポストアップもハンドリングもシュートも、すべてを向上させる。僕は完全なバスケットボールプレーヤーになりたい」と、これまで以上に自分がチームを引っ張る意欲を示した。そして実際、今シーズンの彼はすべての面で向上している。ディフェンスでの存在感は増し、オフェンスでのプレーの引き出しも増えた。そして何より、調子の波がなくなり『高値安定』になったことで、エンビードはNBA最強のセンターへと成長した。

今シーズンも試合を重ねるごとに調子を上げ、2月からNBAオールスターまでの14試合では平均32.2得点、12.1リバウンドを記録。ブルズ戦ではキャリアハイの1試合50得点、カンファレンス首位同士の激突となったジャズ戦では40得点を挙げてチームを勝利に導いている。

そのエンビードが2週間以上の戦線離脱になることはチームにとって痛手だが、最悪の事態は避けられた。東カンファレンス首位を走るシクサーズの希望は繋がれた。