対SR渋谷は「ハンドラーの選手がコントロールできるかがカギ」
アルバルク東京はサンロッカーズ渋谷との月曜ナイトゲームに83-76で勝利した。2点差で敗れた前日の雪辱を果たすとともに、今回の勝利でSR渋谷との直接対決を得失点差で上回る大きな勝利となった。この試合で18得点8アシストと見事な活躍を見せた安藤誓哉も「今日勝つか負けるかというのは僕たちのシーズンにとって重要だったのでホッとしています」安堵の表情を浮かべた。
この試合で勝負を分けるポイントとなったのは、SR渋谷のプレスディフェンスに対してどこまでミスを抑えられるかだった。前線からのプレッシャーにより不用意なパスを引き出され、そこからトランジションに移行されればSR渋谷の形となってしまう。安藤も「ハンドラーの選手がコントロールできるかがカギになってくる」と意識していたという。
SR渋谷はオールコートで当たり、ハーフコートでも積極的にダブルチームを仕掛けてA東京のターンオーバーを誘った。何度かトラップに引っかかりパスカットを許す場面も見られたが、結果的に11ターンオーバーという数字を見れば、プレッシャーディフェンスを攻略したと言える。安藤も「プレスに対して攻めあぐねてしまった部分もあったんですけど、簡単に失点するライブターンオーバーはそこまでなかったので、なんとか勝ち切れたと思っています」と言う。
ダブルチームをかいくぐれば、数的有利な状況が生まれるのは自明の理。実際、安藤を筆頭にディフェンスを2人引き付けたことで4対3の状況が多く生まれ、そのシュートチャンスを確実に沈めていった。特に3ポイントシュートが26本中12本成功(46.2%)と高確率で決まったことがリードを保ち続けられた理由であることからも、ハンドラーのパフォーマンスが勝敗に大きく関与した。
安藤は言う。「プレッシャーをかけられた分、そこを抜くことができればアドバンテージが生まれる。良い意味でオフェンスを楽しめるゲームになったし、若い選手もクローズアウトゲームの経験ができた。今日に関しては苦しんだというより楽しめた部分が多かったです」
思いは一つ「天皇杯を取りにいきたい」
A東京は田中大貴とアレックス・カークの2人が戦線離脱中と苦しい状況が続いている。それでもSR渋谷に勝利し、3月3日に行われた富山グラウジーズ戦でも得失点差で上回る27点差の大勝を収めるなど、主力選手不在の影響を感じさせない。
2人の不在は「もちろん痛い」と安藤は言うが、優勝を目指す上での試練でもあり、チーム力を底上げするチャンスともとらえている。「2人がいない状況でのチームワークが徐々にできあがってきています。ここで勝ち切ることができたら、2人が戻って来た時にチャンピオンシップが取れる準備ができると思っています」
Bリーグはここでバイウィークを迎えるが、A東京は12日に宇都宮ブレックスとの天皇杯準決勝を戦う。SR渋谷との激闘を終えた直後にもかかわらず、天皇杯に向けてのミーティングがあったと明かした。安藤も「プレーも気持ちも引き締めて、天皇杯を取りにいきたい気持ちです」と、前だけを見ている。
A東京の『三本柱』のうち二本が欠けている状況だが、安藤を筆頭にチームはまとまり、『王者の底力』と言える勝負強さを発揮している。安藤にかかる負担は増えるが、『三本柱』の最後の一本が崩れない限り、A東京はこれからも盤石な強さを見せるはずだ。