「シュートを決めアシストをすることもできたのは良かった」
川崎ブレイブサンダースに特別指定選手で加入した米須玲音は、112-75で圧勝した3月7日の新潟アルビレックス戦に出場。第4クォーターのオフィシャルタイム明けでコートに立つと、残り2分に篠山竜青の得点を生み出すアシスト、残り44秒にミドルシュート、終了直前にレイアップを決めて4得点1アシストをマークした。
東山高校で世代を代表する司令塔として活躍した米須は、1月13日に川崎へ加入。その後、2月13日のレバンガ北海道戦でBリーグデビューを果たすと、この試合の前までにアウェーゲーム3試合に出場した。
天皇杯終了を受けて特別指定としての活動を終える米須にとって、今日の試合はホームのとどろきアリーナで出場できる最後の機会だ。そこで先輩たちが序盤から新潟を圧倒して大量リードを奪ったこともあってプレーするチャンスを得た。
米須はこう試合を振り返る。「(佐藤)賢次さんからはいつ出てもいいように準備をすることを言われていて、マッチアップする選手などいろいろと考えながら試合を見ていました。残り5分弱で試合に出て、先輩から『思いきりやれ』と言われ、シュートを決めてアシストをすることもできたのは良かったと思います」
短い期間ながらオフコートでのいろいろな活動にも参加するなど、川崎の一員として完全に溶け込んでいた米須だけに、もちろんチームを離れる前にとどろきアリーナでプレーする姿を見せたい思いは持っていた。
「最後のホームゲームに出たい思いはありましたが、それよりもチームが勝つことが一番です。ただ、出ることができたらやるべきことをやって、チームの雰囲気を良くしたいと思っていました」
「全試合アシストを記録できたことは評価したいです」
まさに有言実行で、持ち味のパスで違いを生み出すなど、自身のやるべきことをしっかり遂行した米須を佐藤ヘッドコーチはこう称える。「今まで出たすべての試合で、自分の持ち味を発揮してくれました。まだまだ身体も細いですし弱点もありますが、そこを試合で見せない。自分が持っている強み、特徴を周りに伝えてその通りのプレーをクリエイトする。そこは本当にすごいと思います」
これで米須のBリーグ1年目は4試合出場、計8得点4アシスト1リバウンドで終了となった。ただ、この数字以上のインパクトを周囲に与えたことは間違いない。
「自分が得意としているのはパスで、全試合アシストを記録できたことは評価したいです。苦手としているディフェンスで最初は苦戦した部分がありましたが、練習をしていく中で慣れていき、しっかりできたところもあったと思います」
こう総括する米須は、これから日本大学での大学生活が始まる。その中でまず強化していきたいのはフィジカルだ。「線が細いので大学1年目は身体作りをテーマに、ガード以外の選手とマッチアップしても戦えるようなプレーヤーになっていきたいです」
短い間ではあったが、Bリーグ屈指の強豪である川崎に高校生の内から帯同できたことは米須にとって大きな意味を持つものとなった。この貴重な経験を糧に、彼が大学でどんなプレーを見せてくれるのか、今から楽しみに待ちたい。