ブラッドリー・ビール

『フランチャイズプレーヤー』としての道を選んだ2人

現地7日にアトランタで開催されるオールスターゲームに出場するウィザーズのブラッドリー・ビールと、トレイルブレイザーズのデイミアン・リラードにはある共通点がある。それは、2人とも2012年のドラフトで指名された球団一筋のキャリアを送り、フランチャイズプレーヤーとしてチーム、それからコミュニティの顔になっていることだ。

彼らは、2019年にそれぞれウィザーズ、ブレイザーズと大型契約を結んだ。NBAを代表する選手に成長すると、トレードやフリーエージェントになっての移籍の噂が絶えない。ビールもリラードも全盛期の間に優勝が可能なチームに移籍し、他のスター選手たちと共闘する道を選ぶべきではないかと頻繁に言われる立場になった。

しかし、2人は優勝のためのトレード要求、移籍を頑なに選ばないキャリアを送り続けている。ウィザーズから提示されていた延長契約のオファーを受けるかどうか悩んでいた2019年7月、ビールは最終的な結論を下す前に、自分より一足早くブレイザーズと延長契約を結んだリラードの話を聞きたくなったという。ビールとリラードは、一瞬の喜びや充足感を得るより、地に足をつけてこれからも残るものを築きたいタイプ。リラードとの会話で自分の考えが間違っていないと悟ったビールは、ウィザーズと2年の延長契約を結んだ。

『The Athletic』によれば、この時から2人の間には絆が生まれ、今月ポートランドでウィザーズ対ブレイザーズの試合が行われた後、ビールとリラードは会場の駐車場で言葉を交わしたという。

リラードは、「ホームでウィザーズと対戦するたびに、彼はチームバスに向かう途中で、僕は自分の車に向かう途中で顔を合わして、数分間だけれど立ち話するんだ」と、先日のことを語った。そして、NBA選手として似たキャリアを送るビールについて、こう続けた。

「自分も『移籍した方がいい』と頻繁に言われる側だから、彼の気持ちは分かる。彼と僕は同じ考えで、移籍したいとは思っていない。今シーズンは僕たちにとってキャリア9年目。これまで、自分のチームのために力を尽くしてきた。今いる場所こそ、自分たちが力を尽くすべき場所だと思っている。ここで何かを成し遂げたい。きっと彼も同じ考えだと思う」

「僕たちは同じ考えを持っている。他の選手と一緒にチームを組む道を選んだ選手を批判するつもりはない。僕らは今の道を自分で選んだ。このやり方でやりたいんだ。この道を選んだことに意味がある。その部分で僕たちは繋がっている」

ビールは、ウィザーズと延長契約を結ぶ上でリラードとの会話が役に立ったと話している。「彼との会話はすごくためになった。彼も自分もよく言うことだけれど、優れた2人、もしくは3人と一緒にプレーする案に乗るのは簡単。でも、そちら側の芝生は、僕たちにとって青く見えない」

優勝するため『ビッグ3』、『スーパーチーム』、『スーパースターデュオ』結成を希望するスター選手が多い現代のNBAで、ビールとリラードのような選手は珍しい。だからこそ、『フランチャイズプレーヤー』という肩書きが似合う。