PJ・タッカー

ジャレッド・アレン退団で層の薄いインサイドの補強は急務

PJ・タッカーは5月に36歳になるベテランで、4シーズン目を迎えているロケッツとの契約は今夏に満了となる。経験豊富なビッグマンで、これまでインサイドの守備の要として活躍してきた。彼自身は「ヒューストンはブルーカラー(肉体労働者)の街で、僕のように派手ではなくても一生懸命に戦う選手を応援するファンが多い。僕は彼らのためにプレーして、ここで現役を終えたい」と語っているのだが、今のロケッツにおける彼の立ち位置は決して良くはない

今も主力として活躍しているにもかかわらず、契約延長はまとまらない。デマーカス・カズンズを構想外にした理由は、スモールラインナップを採用して今後は若手にチャンスを与えるためであり、これはタッカーにも当てはまる。今シーズンのタッカーはここまでほとんどの試合で先発を務め、30分のプレータイムで4.5得点、4.7リバウンドを記録している。

ロケッツは契約延長をしないのであれば、トレードで何らかの見返りを得るべきで、トレードデッドラインまでにタッカーを手放す可能性は高い。ただタッカーの年齢、そして今シーズンになってスタッツを落としているのは不安要素で、獲得を検討する球団は彼にどれだけを求め、どれだけの見返りを出すか決めかねているのかもしれない。

それでも、開幕してすぐにエースのジェームズ・ハーデンが出ていったことでロケッツのチーム構想は崩れ、ここまで11勝22敗と結果が出せずに迷走している。その状況でスタッツを伸ばすのは容易ではないし、そもそもタッカーは派手なスタッツを残す選手ではない。ロッカールームでリーダーシップを発揮し、インサイドで身体を張り、チームを鼓舞する持ち味に目を付けるチームからすれば、彼ほど費用対効果の高い選手はいない。

そして、タッカーを一番必要としているのはネッツというのが大方の見方だ。ハーデン獲得の際にジャレッド・アレンを放出したため、インサイドではディアンドレ・ジョーダンが孤軍奮闘。ディアンドレは2018年にクリッパーズを離れた後は目立たない存在となっていたが、『ビッグ3』の誕生と時を同じくしてインサイドの守備を一手に任され、見事なプレーで期待に応えている。しかし、NBA優勝を目指す上で層の薄さは大きな不安要素。スティーブ・ナッシュのアシスタントを務めるダントーニはタッカーのコンディションについても詳細な情報を持っているはずだ。

トレードデッドラインは3月25日。それまでにタッカーを加えることができれば、ネッツは『完成』する。