齋藤拓実

「コミュニケーションが取れていたので上手く対応できた」

「競ったゲームで勝ちきれないことがあった中で、ここで2戦ともしっかりモノにできたことはチームにとってものすごく自信になるし、一皮むけたような感じかなと思います」。名古屋ダイヤモンドドルフィンズの齋藤拓実は、アルバルク東京戦後の会見でこう語った。

名古屋Dはバイウィーク明けの第24節で、第1戦は100-95、第2戦は85-83と、ともに延長までもつれる接戦を制し、Bリーグ開幕以降初となるA東京戦での連勝を飾った。A東京は大黒柱のアレックス・カークと田中大貴がケガで欠場していたとはいえ、リーグ連覇を成し遂げているチームだ。手堅いディフェンスとピック&ロールを軸としたオフェンスを持ち味とするA東京に対し、名古屋Dは変則的なゾーンディフェンスを展開。第2戦では最大9点のビハインドを背負う場面もあったが、最後までゾーンディフェンスを展開して相手を苦しめ、勝利を手繰り寄せた。

齋藤は「ゾーンで相手を混乱させることができました。その中でアルバルクさんは修正してきましたが、そこでウチもしっかりと修正して対応することができました」と言うと、ゾーンが効いた理由に『コミュニケーション』を挙げた。

「僕はアルバルクに在籍していましたし、チームもしっかりスカウティングをしてくれていたので、どんなプレーをしてくるかは考えていました。特に予想していたのがピック&ロールの部分。ただ、第1戦で相手がアジャストしてピック&ポップに変えた時に、僕たちはすごく混乱してしまったんです。でも、そういう時も全員で声を掛け合って『こういうディフェンスをしよう』と、しっかりコミュニケーションが取れていたので上手く対応できたと思います」

齋藤拓実

「チームとして『勝ちたい』という思いが前面に出た2試合だった」

第2戦でのA東京は、ゲーム序盤からコートに立つ全員がエナジー全開のプレーを披露したが、名古屋Dは相手の勢いにのまれることなく、自分たちのプレーを続けることができた。齋藤は言う。「特に第2戦でアルバルクさんがものすごいエナジーを出してくることは、試合前から分かっていました。ただ、そこでも僕たちはしっかりコミュニケーションを取れていたので、エナジーの部分でも上回ることができました」

名古屋Dは現在24勝15敗でチャンピオンシップ出場圏内の西地区の3位に位置し、2位のシーホース三河には1勝差まで迫っているが、シーズン終盤戦では強豪との戦いが控えており、チャンピオンシップ進出はまだまだ予断を許さない。

齋藤はそれを理解しているため、A東京に勝利した直後も喜びを語るだけでなく、「ここからの試合がすごく大事になってくる」と気を引き締める。「チームとして『勝ちたい』という思いが前面に出た2試合だったと思います。ただ、相手が強豪チームだから、チャンピオンチームだからエナジーを出すのではなく、そういうことに関係なしに全試合でこういうエナジーを出さなければいけません。2試合ともに接戦をモノにした後の試合が、今後に向けてはすごく大事になります」