「相手より激しく戦うしかない」指揮官の檄がナゲッツを動かす
オフェンスを武器とするナゲッツと、ディフェンスとハードワークで戦うサンダーの対戦。どちらの得点も100を超えないロースコアの展開であれば、サンダーのゲームプラン通りに進んだ試合だと見て間違いない。実際、サンダーは相手の両エース、ジャマール・マレーとニコラ・ヨキッチに常にプレッシャーを掛け続け、リズムに乗らせなかった。
89-83と6点リードで迎えた第4クォーター残り4分すぎのディフェンスでは、ドライブするマレーの進路をふさいでリムへと向かわせず、ヨキッチが苦し紛れに放ったフックシュートをダリアス・ベイズリーが叩き落す。その後もケンリッチ・ウィリアムズが2回連続でオフェンスリバウンドを奪う分厚い攻撃を見せるなど、サンダーがディフェンスとハードワークで試合を支配していた。
しかし、とにかく得点が入らない。残り4分から4本のシュートを放つもすべてリングに嫌われ、コートに立っている5人がディフェンスとリバウンドではハードに戦うものの、得点を狙う積極性が出ない。ナゲッツのマイケル・ポーターJr.が体勢が不十分なまま強引に放ったシュートを決めた後、サンダーはボールを押し付け合うようなオフェンスの末に24秒バイオレーションでゼッションを明け渡した。シェイ・ギルジャス・アレクサンダーが足首を痛めて欠場している状況で、得点の面でステップアップする選手が出てこなかった。
残り1分20秒、ヨキッチが先ほどブロックショットを浴びたのとさほど変わらない位置から迷わず放ったシュートを決めて、ナゲッツが逆転。試合開始から46分半、ここで初めてのリードを奪ったナゲッツが最後まで手堅いプレーを見せ、97-95でロースコアゲームを制している。
ナゲッツの指揮官マイケル・マローンは「とくに序盤はひどい出来だった。気持ちが整わないまま試合に入ってしまった感じだ」と勝っても反省の言葉ばかりだった。ハーフタイムに彼は選手たちに「点差やスタッツ、プレーなんかどうでもいい。サンダーの方がハードにプレーしているぞ。勝つには前向きに、そして相手より激しく戦うしかない」と檄を飛ばしたそうだ。「選手たちも同じように感じてくれた。おかげで何とか勝てたよ」
ニコラ・ヨキッチはサンダーのダブルチームに苦しみながらも、22得点13リバウンド9アシストとトリプル・ダブル級の活躍。それでも試合後はマローンの言葉のようにプレーの内容には触れたがらず、「ホームで負けられるか、という気持ちだった。ただ勝ちたいという気持ちだけが、僕らのスイッチを押したんだ」と語った。
一方のサンダーにとっては悔しい敗戦。それでも指揮官マーク・ダグノートは「試合に向けて準備してきたことは出せた。相手にかなりの脅威を与えられたと思う」と内容については評価する。両エースに加えてポーターJr.というタレントを擁し、得点でリーグ3位、得点効率でリーグ5位を誇るナゲッツを97得点に抑えられたことには意味がある。やりたいバスケが体現できていたのであれば、ブレずに突き進むべきだろう。