アルバルク東京を相手に、最終クォーターをフル出場
千葉ジェッツは2月10日に敵地でアルバルク東京と対戦。第3クォーター終了時点で13点のリードを許すが、第4クォーターに猛反撃を見せ一時は逆転するもあと一歩及ばず77-82で敗れた。
これで連勝が4で止まり、地区首位の宇都宮ブレックスとのゲーム差が広がってしまったのは確かに痛い。ただ、第4クォーターに見せた追い上げと粘り強さは、徐々にだがチーム、状態が上向いていることを示している。そして、この反撃をけん引した大倉颯太の活躍は大きな光りだ。
大倉は東海大でインカレ優勝を果たした直後、12月15日から2月末までの予定で千葉に練習生として加わった。練習生では試合に出場できないため、ずっとベンチ脇でチームメートの戦いを見守ってきたが、2月3日に千葉と特別指定契約を結んだことでリーグ戦でのプレーが可能となった。
すると契約直後の2月6日、7日の滋賀レイクスターズ戦で6日が11分26秒、7日は16分40秒と早速プレータイムを獲得。そして今回、現状はチャンピオンシップ圏外とはいえリーグ連覇中の王者との一戦で、24分37秒の出場で9得点を記録した。さらに第4クォーターは10分間のフル出場と主力の一員として勝負どころでコートに立ち続けた。
大倉について千葉の大野篤史ヘッドコーチは「とても良かったです。自分たちにモメンタムをもたらしてくれた。第4クォーターに追いかけるきっかけを作ってくれたと思います」と称えた。
実際、この試合の大倉は要所での得点が目立った。例えば第3クォーター終盤、A東京の猛攻を食らい14点のリードを許した直後、3ポイントシュートを決めて嫌な流れを断ち切った。そして第4クォーター序盤には、ターンオーバー奪取からの速攻でバスケット・カウントを成功させ、5点差に縮めるビッグプレーを決めた。
大倉はこう試合を振り返る。「ディフェンスにフォーカスして準備してきたことを遂行できたことは良かったですが、コミュニケーションミスでトラブルを起こしてしまいました。アルバルクさんはそこを突いてくるのが上手かった。そこが最後、追いつけなかった部分かと思います」
「ロールプレーヤーとして貢献したい」
特別指定選手となってリーグ戦に出場可能となってからまだ日が浅いが、今の彼はいかにチームの力になることしか考えていない。現役大学生として、貴重な経験を積めて良かったという感覚はなく、だからこそ次の感想を口にする。「練習からチームに貢献する意識でやっていて、相手がアルバルクさんだからとか、そういうものはないです。今は負けて悔しいとしか思わないです」
東海大では攻撃の起点としてオフェンスを組み立てている大倉だが、千葉においての役割は次のように意識している。「アグレッシブにディフェンスをすること、ボールをシェアする部分など得点を取るというより、しっかりロールプレーヤーとして貢献したいと思っています」
そして、今日の試合ではその役割をしっかり遂行し、それが第4クォーターのフル出場に繋がった。また、帰化選手や外国籍選手にも自ら積極的にコミュニケーションを取りにいくなど、大学と変わらないリーダーシップを発揮している姿は頼もしい限り。今の大倉は当初の予定通り、2月末で大学に戻ってしまったら惜しい。もっとBリーグでの姿を見たいと思わざるを得ないプレーぶりだ。
また、今回のチーム帯同中に吸収したい部分を聞かれた彼はこう答える。「身体の使い方など個人のスキルを上げたいです。僕はケガが多い身体で、そういうウィークポイントを見直してトレーニングをやっていきたいです。いろいろな先輩からたくさんの良い姿を見せてもらっているので、それをすべて吸収して大学に帰りたいと思います」
日本バスケットボール界の次代を担う逸材が、これからのチーム練習、そして公式戦でさらに多くのものを得ることを楽しみにしたい。