第2クォーター、全員が走ることで波に乗る
23勝11敗で2位のシーホース三河と、18勝16敗で4位の大阪エヴェッサ。プレーオフ進出を占う西地区の上位対決は、両チームのエースによる点の取り合いに始まり、最後はチームの総合力で上回った大阪が93-85で完勝した。
立ち上がりは金丸晃輔の独壇場。大きく動き回ってマークを引きはがしては、その瞬間に出るパスを受けては次々とシュートを決めていく。試合開始から7本連続のシュートにフリースロー2本を決めて、第1クォーターだけで18得点を奪った。大阪も第1クォーターで7得点2アシストのディージェイ・ニュービルを軸に25-21と食らい付くも、金丸のマークで振り回されていたのもニュービル。ただでさえオフェンスの負担が大きいエースの消耗が懸念される立ち上がりとなった。
それでも大阪は、ここから堅守速攻で立て直す。ニュービルをベンチに下げて休ませている時間帯に、センターのジョシュ・ハレルソンを含む全員が速攻で走り、イージーバスケットを連発することで波に乗った。竹野明倫コーチは試合の転機となった場面をこう説明する。「ウチで一番ディフェンスの良いニュービルを金丸選手に付けたのですが、その上からやられました。得点力のあるチームなのである程度は見過ごさないといけないのかもしれませんが、それよりも足が動いていなかったりしたので、自分たちがやろうとしていることを出そうと伝えました」
前半を終えて49-41。ファストブレイク(10-0)とベンチポイント(16-5)で差を付けた大阪が8点リードで試合を折り返す。後半に入っても相手の速攻にハッスルバックしたハレルソンのパスカットから逆速攻でエリエット・ドンリーの3ポイントシュートが決まり、その直後にはダバンテ・ガードナーからスティールしたニュービルのワンマン速攻も決まって大阪が突き放す。
金丸はシーズンハイの31得点も「勝ちたかった」
三河は川村卓也がギャップを突く3ポイントシュートを決め、金丸もファウルを受けながら3ポイントシュートを決める4点プレーで流れを変えようとするが、ディフェンスが締まらない。第3クォーターにはアイラ・ブラウンのミドルジャンパーや伊藤達哉の3ポイントシュート、第4クォーターに入ってハレルソンのバスケット・カウント、駒水大雅ジャックのロングツーなど決めた選手を称えるべきシュートも多かったが、三河としては良いディフェンスから良い攻めに転じることができなかった。
第4クォーター残り3分40秒、ニュービルが強引なドライブでトップからゴール下まで切り裂いてジャンプシュートを沈めて点差を2桁に戻す。三河のタイムアウト明け、大阪はオフェンスリバウンドを2度拾う分厚い攻撃の末にアイラの3ポイントシュートが決まって90-76、これで勝敗はほぼ決した。
三河はこれで4連敗。鈴木貴美一ヘッドコーチは「ウチらしくないミスを連発してしまった。良いパスをしてアシスト27は悪くないけど、相手に取られてファストブレイクを出されたことが多かった」と試合を振り返る。
前回、76-98で敗れた敵地での大阪戦では2得点に終わった金丸は、この日はシーズンハイの31得点。圧倒的な得点能力を見せたものの、「個人的にその借りは返せたと思うんですけど、勝ちたかった」と試合後には悔し気な表情を見せた。課題はやはりディフェンスだ。「チームでディフェンスすることが自分を含めてできていない。ローテーションを最後まで遂行できないから最後にノーマークで打たれてしまう。ピックに対するディフェンスは課題だと思います」