ケビン・デュラント

怒りをぶちまけるデュラント「自由にしてくれ!」

ネッツはラプターズとの接戦に競り負けて117-123で敗戦。終盤にカイリー・アービングとカイル・ラウリーとのクラッチシュート対決で押し負けたこと以上に、ケビン・デュラントの出場にかかわるトラブルが悔しい一戦となった。

試合開始直前に、デュラントが健康安全プロトコルにより出場できないことが明らかになった。彼と接触した人物の検査結果が出るまでは試合に出場できないという『念のため』の措置だ。それでも試合にはエントリーしており、こうして彼はNBAキャリア867試合目にして初めてのベンチスタートを経験した。

試合開始からほどなく『OK』の連絡が届き、第1クォーター残り4分でデュラントはコートに立った。しかし19分プレーした後の第3クォーター途中に、彼は健康安全プロトコルを理由にコートを去るように指示された。ロッカールームへと引き上げる際、デュラントは持っていた水を放り投げてフラストレーションを示した。

NBAのリリースによれば、デュラントはこの24時間で3回の、試合前にも2回の検査を行いすべて陰性。それでも接触した人物の検査結果が出なかったために先発で出ることがかなわず、陽性反応が出たために試合から除外された。これから濃厚接触に当たるかどうかの確認が行われるが、翌日のシクサーズ戦への遠征には参加しないと見られる。デュラントは「自由にしてくれ!」、「ファンは馬鹿じゃない。そんなことじゃ騙されないぞ」と過激なツィートを投稿している。

デュラントはすでに新型コロナウイルスに感染し、抗体を持っていることが検査で明らかになっている。だが、NBAの健康安全プロトコルでは抗体の有無は考慮されないため、デュラントは他の選手と同じ扱いを受ける。彼からすれば、自分にはわずらわしい検査は必要ないし、ベンチスタートになるのも試合から引きずりだされるのも意味がないと感じているのだろう。

ネッツを率いるスティーブ・ナッシュは「1日に2回も彼を失うのはキツい」と話す。「まだこれからどうなるか分からない。また1週間の隔離になるようなことがなければいいが、今は情報を待つしかない」

ジェームズ・ハーデンはよりストレートに自分の感情を語った。「いろいろありすぎて圧倒されて、混乱したし、イライラした。僕らはプロトコルに従って毎日テストを受けている。彼がプレーできず、途中からプレーできて、でもやっぱりプレーできないというのは理解できない。『接触を追跡しているから』と説明されたけど、もし感染リスクがあるなら、試合は延期すべきだったはずだ。彼は僕らと一緒にロッカールームにいたし、コート上でプレーしていたんだから。でも彼だけが感染リスクがあるとコート外に連れ出された。それは理解できないというのが僕の本音だ」

30得点を挙げて勝利の立役者となったラプターズのエース、ラウリーも試合後にはこの問題のことばかりを聞かれ、当惑した表情でこう語った。「健康安全プロトコルで何かが起きているんだと思ったけど、プレーしなきゃいけないから集中しようとした。何も起こらなければそれがベストだけど、どこで何が起きてもおかしくはない。選手だけじゃなくアリーナに戻りつつあるファンや試合運営にかかわるすべての人が安全であることが一番大事だ。僕らはこのリーグを、ビジネスを続けなきゃならない。それと同時に安全も追い求める。毎日何かが起きていて、新しい出来事があったり、新しいルールが追加で出てきたりする。それは僕らにはコントロールできない。できる限りこの状況に適応して、気を付けてやっていくしかないよ」