サイズアップの取り組みと国際経験、充実のジョーンズカップが日本代表の底上げに

2018/08/05
Bリーグ&国内
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ジョーンズカップ日本代表

文=立野快 写真=B.LEAGUE、野口岳彦

多くの選手が新境地を見せる実りある大会に

7月14日に開幕し、若手中心のBチームが9日間で8試合を戦ったジョーンズカップ。フリオ・ラマスのアシスタントであるエルマン・マンドーレが指揮を執ったこの大会で頭角を現した6人の選手が、さっそくA代表のオセアニア遠征メンバーに組み込まれた。

シェーファー・アヴィ幸樹は貴重なビッグマンとして代表合宿の常連となっており、ベンドラメ礼生も常に代表選考のテーブルには乗っていた。しかし、橋本拓哉、佐藤卓磨、今村佳太、テーブス海の4人は、ジョーンズカップで評価を一気に上げてここまでたどり着いたと言える。

ここでジョーンズカップでの取り組みを振り返ってみたい。日本代表の常連と呼ぶべき選手は誰も参加していないBチームだが、並里成や中西良太、ベンドラメといった、A代表では機会に恵まれないがBリーグで実力は証明済みの選手を軸とし、そこに国際大会の経験が飛躍の糧になるであろう若手を集めて作った、ポテンシャル十分のチームだった。

明らかな格下もいる中での3勝5敗という成績は少々物足りないが、大会を終えて指揮官マンドーレが「このチームにとって大事なのは結果だけではなく、サイズアップによってコンバートした選手たちが不慣れなポジションでもしっかり戦えたこと」とコメントしたように、収穫もまた多かった。

ジョーンズカップでの戦いぶりには、挑戦的な試みが随所に見られた。激しいディフェンスから走るスタイルはAチームと同じで、強度の強いディフェンス、トランジション、積極的に放つ3ポイントシュートというチームの狙いは明確だった。急造チームということもあってイージーミスが目立ち、ターンオーバーから試合を落とすことも多かったが、大会が進むにつれてチームの狙いが選手間で共有され、その中でそれぞれの持ち味が発揮されるようになった。

シェーファー・アヴィ幸樹

大胆なサイズアップの取り組みに成果アリ

フリオ・ラマスは日本代表ヘッドコーチに就任した時点で「サイズアップに取り組む」と明言していた。既存の主力選手の身長を伸ばすことはできなくても、これから代表に加わる選手はサイズを重視し、なおかつポジションアップさせることで全体的なサイズアップを実現させるということだ。ジョーンズカップではこれが主眼に置かれた大会だった。

195cmの佐藤卓磨が2番と3番ポジションで起用され、強気な姿勢で3ポイントシュートを放ち、かと思えば果敢なドライブを仕掛けるなどチャレンジ精神で一際目立つ存在となった。また大学ではセンターのイメージが強い195cmの玉木祥護は、シューター兼スクリーナーとして3番ポジションでプレー。これにより西川貴之、今村佳太、高橋耕陽もポジションアップし、世界基準のサイズのラインナップで戦った。

それと同時にインサイド陣にはトランジションバスケットへの適応が求められた。シェーファー・アヴィ幸樹は最後のチャイニーズ・タイペイBとカナダを相手にチームトップとなる得点を挙げる活躍。205cm107kgの体格を生かしてゴール下で存在感を見せ、また献身的にコートを上下動して『走るバスケット』にもしっかり対応した。まだ20歳で実戦経験は少ないが、Aチームに常に帯同しているのも納得のプレーをコートで表現している。

ポイントガードのポジションでは、並里、ベンドラメ、テーブス海のそれぞれが持ち味を発揮。特にテーブスは188cmと長身ながら、リズムに乗ったドライブで数々のチャンスを演出し、今大会で最も安定していたシューターである橋本拓哉へ多くのアシストを供給した。

フリオ・ラマス

明確な目標を持って大会に臨み、成果を形に

ポジションアップでいつもと勝手が違うことに加えて、ハードな守備を求めたことで、外で抜かれてファウルトラブルに陥ったり、ゲームメークが不完全でターンオーバーが多くなった試合があった。さらに勝ち切るという意味では、序盤リードを奪われながらも接戦に持ち込み敗れたフィリピン戦や、最後に突き放されたカナダ戦など、勝負どころでのパフォーマンスには課題が残った。また格上が相手になるとインテンシティの部分で引いてしまう場面も目立った。

ただ、そんな課題を差し引いても、Aチーム入りを狙える選手たちに国際経験を積ませ、同時にサイズアップの取り組みにも一定の成果が出て、大会の目的は十分に果たした。ポジションアップの取り組みは、A代表でも同じポジションで起用されることを想定してのもの。ここでのプレーがそのままAチームのレベルやサイズでも見せられるようにアレンジされており、今後に生きるに違いない。

ジョーンズカップは結果よりも成長を求める大会。それでも、「その時点で有望な若手で急造チームを作り、国際試合をやって帰ってくるだけ」とは全く違い、明確な目標を持って大会に臨んだことは試合を見れば明らかだし、その成果はすでに形に現れつつある。いや、本当の成果はこれからの彼らのパフォーマンス次第。今回のオセアニア遠征に帯同することになった選手も、それ以外のメンバーも、日本代表と来たるべき新シーズンのBリーグでどんな成長を見せてくれるかが楽しみだ。

「ジョーンズカップ」男子日本代表チーム

1 中西 良太 (C / 熊本ヴォルターズ)
5 テーブス 海 (PG / ノースカロライナ大学ウィルミントン校)
9 ベンドラメ 礼生 (PG / サンロッカーズ渋谷)
13 橋本 拓哉(SG / 大阪エヴェッサ)
14 杉浦 佑成 (SF / サンロッカーズ渋谷)
16 並里 成 (PG / 琉球ゴールデンキングス)
17 鎌田 裕也 (PF / 川崎ブレイブサンダース)
20 西川 貴之 (SG / シーホース三河)
25 平岩 玄 (C / 東海大学)
30 今村 佳太 (SF / 新潟アルビレックスBB)
32 シェーファー アヴィ 幸樹 (C / ジョージア工科大学)
35 高橋 耕陽 (SG /滋賀レイクスターズ)
41 佐藤 卓磨 (SF /滋賀レイクスターズ)
65 玉木 祥護 (PF / 筑波大学)
75 井上 宗一郎 (C / 筑波大学)