強豪の川崎を相手に9分のプレータイムを獲得
サンロッカーズ渋谷は川崎ブレイブサンダースとの水曜ナイトゲームを73-86で落とした。川崎の激しいディフェンスに苦戦し、多くのターンオーバーを犯したことが敗因となったが、大黒柱のライアン・ケリーが欠場し、インサイドで後手に回らざるを得ない状況となったことも勝敗を分けるポイントとなった。しかし、インサイドが手薄になったことで、特別指定選手としてSR渋谷に入団した八村阿蓮の出番は増えた。
八村はすでに前節の滋賀レイクスターズ戦でB1デビューを果たした。その試合ではワンポイントでの起用となり、4分の出場に留まったが、今回は9分間とプレータイムが伸びた。
「9分という出場の中で自分のやるべきことをしっかりできたのかなと思っています。リバウンドだったり、まだまだ自分の強みを出せていないと思うので、試合に出た時は自分のやるべきことをしっかりやりたい」と八村は試合を振り返った。
東海大3年の八村はチームの主力として数々のタイトルを獲得してきた。198cmの高身長ながらフィジカルと敏捷性も併せ持ち、大学バスケ界では突出した存在ではあるが、いきなり活躍できるほどB1の世界は甘くない。八村も「ウイングスパンも長いし、フィジカルコンタクトも強く、自分よりも大きくてシュートがうまい選手ばかり」と、大学バスケとの違いを痛感している。
ただ、こうした厳しい環境に身を置くことは自らのレベルを高める。「高いレベルの選手と対戦することで自分のステップアップに繋がりますし、自分の足りないものが分かります。9分という時間の中ですけど、モチベーション的にも良い経験ができました」と八村は言う。
積極性を持ち続けたことが一番の収穫
八村は2本の3ポイントシュートを放つも決まらず無得点に終わり、1リバウンド1アシスト1スティールと数字でのインパクトは残せなかった。さらに、9分という短いプレータイムにもかかわらず、4つのファウルを犯し、プロの洗礼を受けた。
数字だけを見ると「やるべきことをしっかりできた」という言葉に違和感を覚えるが、積極性を失わなかったことにに意味があると八村は言う。「試合前からシュートを積極的に打つと決めていて、ファウルが多かったのも積極的にディフェンスをしたからだと思っています。緊張もしていたし、数字だけを見たら良くないかもしれないですけど、ゴール下のノーマークを見つけてパスをしたり、そういった細かいプレーを積み重ねることで、必然的に結果もついてくると思っています」
八村は2本の3ポイントシュートを決めきることはできなかった。それでも、八村言うように、追いかける展開の中でシュートを打つことをためらわず、臆せずにプレーしたことは評価に値する。
今回の試合はインサイドのディフェンス面を期待され主に4番でプレーしたが、本人は将来を見据え、3番へのポジションアップも視野に入れている。「ポジションアップを前提として、個人のワークアウトではドリブルの練習やドライブ、3ポイントシュートをやっています。日本代表に入れるとしたら3番で結果を残すことが必要なので、4番ももちろんですけど、3番もできる選手になりたいです」
プロ2戦目で即戦力であることを証明した八村。特別指定期間が終わるまでに、さらに感覚を研ぎ澄まして最高のパフォーマンスを見せてもらいたい。